恒常性分野(2)免疫のしくみ
生物教師の情報教育奮闘記は,こちらです。
生物教師の作品集「いのちのエイズ教育」(完全収録済)は,こちらです。
2年越しの超大作「恒常性(2)免疫のしくみ」ば
ようやく書き上げたど。
ものすごかボリュームなんど。
おいどん渾身の一作読んで死むな(笑)。
おいどん,幼少のみぎり
ウイルムス腫瘍いう腎臓にできる小児ガンで
死む子どもを題材とした
テレビドラマば見たんよ。
題名ば「君は海を見たか」いうんよ。
おいどん,それまでガンいう病気のことば
詳しくは知らんやったばってん,
以後ものすご意識するようになったんよ。
ちなみにおいどんが
ガンいうカタカナで
書いちょるのも意味があるんよ。
漢字ば知らん訳じゃもちろんないんばい。
漢字の癌やとこの場合,あてはまらんけんなんよ。
その理由は後で説明することにするばい。
おいどん,幼な心に自分もガンば研究して,
ドラマの中の子どものごと
悲しか目に遭う人ばなくしたい思うたんよ。
勉強したい気持ちがあったよって,
小学生の時からガンについて書かれた新書本ば
読んだりしちょったんよ。
当時,ガンもウイルスが原因で起こることがある
言われ始めちょって,
自分なりに生命とウイルスの関係ば
考察したりしちょったんばい。
ウサギの耳にコールタールば塗り続けて,
世界で初めて人工的に化学物質が原因で
ガンが発生することば証明した
山極勝三郎博士のことば知って,
密かに尊敬しちょったんよ。
結核に冒されて血ば吐きながら,
自分の信念ば貫き通して
ついにガンの原因の一つば突き止めたばいね。
当時イギリスには
工場の煙突ば掃除する役割の人がおって,
その人たちに膀胱癌が多発しちょったんよ。
山極博士の研究成果は
工場の煤煙と膀胱癌との間に因果関係があることば
裏づけたわけなんよ。すごかばいね。
おいどん,血ば見るのが大の苦手よって,
お医者さんになるつもりはなかったんよ。
なりきらんもんね。
よく生徒さんからお医者さんみたいやとか,
お医者さんになればよかったのにとか
言われるばってん,
人には向き不向きがあるんよ。
おいどん,生物の先生ばってん,
勉強はお医者さんに負けんごと
したつもりなんよ。
おいどん,中学校,高校と進んで
現役では大学に受かり切らんで浪人ばしたんよ。
そん時,高校や予備校の生物の先生
によ~く相談ばして,
将来研究者になるのに
どこで学ぶのが一番よかか検討したんよ。
結果,選んだんが農学部農芸化学科やったんよ。
おいどん,紆余曲折はあったばってん
(このへんの経緯については
また機会があったら詳しく書くんよ)
志望通りに国立大学(鳥取大学)の
農学部農芸化学科に入学ばしたんよ。
おいどんのおった農芸化学科,
当時全国一進級が厳しい言われちょったんよ。
2年から3年になる時,
クラスの半分以上が留年したんばい。
おいどんは何とか順調に
4年生まで進むことができて,
「環境生物化学」いう研究室に配属になり,
念願のガンに関する研究ばしたんよ。
おいどんのおった研究室,
エビやカニの甲羅から取れる
キチン・キトサンの研究では
世界的に有名なところやったんど。
おいどんがおった1年間だけでも
テレビ番組ば作るためいうて,
NHKとなるほど・ザ・ワールド
(今もこの番組あるんかしらん?)が
取材に来たもんね。よかである。
おいどんの研究テーマは
キチン・キトサンからガンの免疫ば高める
いわゆるアジュバント作用ばもつ物質ば
作ろういうもんなんよ。
キチン・キトサンは生体由来の物質よって
副作用のあんましないアジュバントになる
いう期待があったんよ。
この研究の過程で,
おいどん,N-アニリノアセチルキトサンいう物質ば
世界で初めて作り出すことに成功したんよ。
特許そのものはおおむね教授か研究室の名前で
その後取ったんやろうばってんね。
おいどん,大学院も行かんで研究の道ば絶ったよって,
その後のことはよう知らんのよ(笑)。
こげん風に,おいどん免疫に関する研究ばしちょったよって,
この分野に関しては案外これでもオーソリチーなんよ。
教科書ば作るときも,
他の単元以上に内容ば厳しくチェックするんよ。
おいどんの関係しちょる教科書,
この分野の記述に関する正確さについては
他社の追随を許さん思うちょるんよ。よかである。
前置きがものすご長くなったばってん,
今から免疫の解説に入るんよ。
免疫のしくみは大きく2つに分かれ,
さらにそのうちの1つが2つに分かれるんばい。
順ば追って説明するばいね。
【1】非特異的免疫
あんまし目立たんし,
教科書ではほとんど取り上げられんばってん,
(おいどんは取り上げるべく提言はしちょるんよ)
実はおおむね一番大事な免疫なんよ。
おいどんが会って話しばした
エイズ患者の草伏村生さん(ペンネーム),
後で書くところの免疫能力が0に近づいたんに,
意外に風邪もひかん言うてあったんよ。
その秘密はこの免疫にあるんよ。
まず,からだの強力なバリアであるところの皮膚の傷やら,
皮膚に比べると弱いバリアである粘膜ば通して,
細菌・ウイルス・毒物といったいわゆる異物が
体内に侵入するとこからばいね。
たちまち血管の中から白血球の一種であるところの
好中球が抜け出して行って,
よし食うどの信念(はないばってん(笑))で
異物ば食うんよ。
この働きば食作用いうばいね。
1個の好中球は,
細菌やったらおおむね25個ぐらい食うんよ。
それ以上は無理よって,
食うた細菌もろとも死むばいね。
この死骸がいわゆる膿やら痰やらになるんよ。
きちゃないとかいうて
忌み嫌うたらいけんのよ。
膿やら痰やらはちゃんと地面に埋めて,
「白血球様の墓」いう墓標ば立てて
手厚く葬らないけんね。
ほんとにそげんことしちょったら,
おいどんみたいにばかかしらん?言われるよって,
気持ちだけはいうことばいね(笑)。
雄々しく戦ってくれた細胞の集団力さんに
おいどん心から敬意ば表しちょるんよ。
好中球以外にも好酸球・好塩基球いうんがあって,
アレルギーやら寄生虫病やらに関与しちょるんよ。
これまで,アレルギーの主役は
好酸球いわれちょったんばってん
最近の研究で,意外なことに数が少ない好塩基球の方が
実は主役やったいうことがわかってきたらしかばいね。
重症のアレルギー症であるところの,
喘息やらアトピー性皮膚炎やらの
根本治療に道が開ける可能性があるらしいんよ。
大いに期待したいもんばいね。
忘れたらいけんのが
ナチュラルキラー細胞なんよ。
この細胞が血液中でどんくらい働いちょるかば
NK活性いうばいね。
結構大事な数値なんよ。
おいどんの上の子が幼少のみぎり,
その数値が少し低い言われて心配したことがあったんよ。
幸い回復したばってんね。
ナチュラルキラー細胞は,ウイルスに感染したり,
ガン化したりしたような何となく怪しい細胞ば
見つけたら退治しようとするんよ。
この“何となく”いうところがミソなんよ。
特定はできんわけなんよね。
それが非特異的免疫いわれるゆえんばいね。
わかったかしらん?
【2】特異的免疫
(1)体液性免疫(液性免疫)
これぞ,免疫機能の中枢ば担うものなんよ。
一般に免疫いうたらこればさすばいね。
この免疫の主役は,抗体なんよ。
抗体は血液中に含まれるよって,
体液性免疫いう名前になるんばいね。よかかしらん?
抗体が作られるしくみば説明するんよ。
まず,非特異的免疫のところで説明した
好中球いうんが,
体内に侵入したた細菌やらウイルスば食う
いうんはよかかしらん?
好中球も細胞よって,
細胞分裂で増えて敵と戦うんばってん
細菌やらは,分裂速度が好中球とは比較にならんぐらい
大きいよって,食うても食うても追いつかんばいね。
ウイルスの場合は,分裂はせんばってん
宿主である細胞の内部で子どもの大集団力ば作るんよ。
その子どもの大集団力がいっせいに元の細胞ば飛び出て,
健康なほかの細胞に取り付いて
破壊するいうわけなんよ。
おいどんたちがインフルエンザやらの
ウイルス性の病気に感染したとき
こげんことが体内あちこちで
起こっちょるいうわけなんばいね。
ほっとくと火の海みたいになるんよ。
全身に細菌がばらまかれて増えまくったら,
いわゆる敗血症なんよ。
勝負は負けばいね。まず助からんのよ。
そげんならんためにも,細菌やらウイルスは
“おおむね”やなくて“完璧に”やっつけないけんのど。
この主役が特異的免疫なんよ。
好中球が食うてもおっつかんごとなって
形勢不利になったら,援軍が出るんよ。
それがマクロファージなんよ。
これも白血球の仲間なんばってん,でかかど。
好中球とは比べ物にならん巨大な細胞なんよ。
しかも,好中球は体当たり的に細菌やらウイルスば
自分の中に包み込んでやっつけるやり方ばってん
マクロファージは賢いんよ。
からだから,触手の大集団力ば出して
ピンポイント的に細菌やらウイルスば
からめとって食うんよ。
すなわち,そこに敵がおるいうんば
正確にキャッチするいうことなんよ。
光もなか体内で,もちろん目に当たるんもないんよ
不思議ばいね。神秘的なんよ。
おおむね,物質に対する反応ばいね。
マクロファージ様いうんは,ありがたか存在なんよ。
足ば向けては寝られんばいね(笑)。
マクロファージのすごさは,それだけやないんよ。
自ら最前線で戦うと同時に,伝令役も務めるんよ。
なお形勢不利と判断すると
細菌やらウイルスやらのからだの一部ばちぎって
司令官役の細胞(リンパ球の一種でT細胞いうんよ)が
おるところのリンパ節(リンパ腺ともいうんよ)に向かうんよ。
以後,リンパ節にまで戦線が拡大することになるんばいね。
風邪ひいたり,虫歯になったりしたとき
リンパ腺が腫れるいうんは,こういうことなんよ。
いわゆる炎症が起こっちょるんばいね。
ここでリンパ球について解説しちょくんよ。
リンパ球も白血球の仲間よって
ふるさとはやっぱし骨髄なんよ。
血液中の細胞ばまとめて血球いうんばってん
すべてふるさとは骨髄ばい。
骨盤やら大腿骨やらの太か骨の中にあるんよ。
どろどろしちょる中にある
骨髄幹細胞いうんが,
すべての血球のもというわけなんよ。
血液は,血球と血しょうから
できちょるいうんは知っちょるかしらん?
リンパ液もおんなしごと,リンパ球とリンパしょうから
できちょるんよ。
リンパ球いうんは,リンパ液中の細胞成分いうわけなんよ。
よかかしらん?
骨髄で生まれたリンパ球のうちの一部は,
心臓の近くにある胸腺いうところに送られるんよ。
胸腺ば英語で“Thymus”いうよって,頭のTばとって
このリンパ球ばT細胞呼ぶんよ。
胸腺は,実のところT細胞の学校なんばいね。
おいどんたちの世界の学校は,成績悪くて落第しても
最悪,やめないけんぐらいで済むばってん
(これももちろん大変なことばってんね)
リンパ球の学校,厳しかど。落第=死なんよ。
間違いいうんば許されん世界よって
エリート中のエリートだけば選別するしくみなんよ。
この学校,何ば勉強するんかわかるかしらん?
ずばり「自己と非自己の認識」なんよ。
これが正確無比にできんと
T細胞の仕事は務まらんのよ。
「自己免疫疾患」いうんば
知っちょるかしらん?
よく知られたところでは
リューマチやら全身性エリマトーデスやらが
あるばいね。
これらの病気は,自己と非自己の認識が
あいまいになってしもうて
自分の免疫細胞が自分のほかの細胞ば
攻撃するいう疾患なんよ。
怖い話ばいね。
T細胞がミスするいうんは,
からだにとって,こげん重大な問題ば
引き起こしかねんのよ。
よって,徹底的にミスせんもんば選ぶには
ミスした細胞ば抹殺していくしかないいうことなんよ。
しかもさらにやっかいな話があるんよ。
非自己いうんは,異物いうように
言い換えてもいいんよ。
異物の種類としては,
すでに出てきた細菌・ウイルスやらのほかに
毒物に代表される化学物質もなんよ。
(いまはアスベストが大問題になっちょるばいね)
ハテ?異物の種類っていくつあるんかしらん?
千?一万?一億?????
ハテ?仮に異物が一億あるいうて,今数えたとして,
おいどんがこの世に生み出した
N-アニリノアセチルキトサンのごと
新しか物質が毎日ごまんと作られちょるばいね。
それらは,どげんなるんかしらん?
人類の歴史は,これからも
ずっと続くはずなんよね。
そうなんよ。異物の種類いうんは
実は無限に存在するいうことなんよ。
ハテ?特異性免疫いうんは,
無限の相手に対して通用するもんなんかしらん?
そうやないとしたら
非自己いうて正確に認識し,排除できんもんが
いつの日か現れてきたとしたら
大変な事態が生じるばいね。
おいどん,生命の神秘あまたあれど
これに勝るもんはないんやないかしらん?
思うぐらい,この事実ば知って感動したんよ。
さっきの問い
「特異性免疫は,無限の相手に通用するか?」
答えは,YESなんよ。
びっくりしたかしらん?
前に説明したごと,特異性免疫の主役は抗体なんよ。
抗体の正体は,タンパク質ばいね。
タンパク質いうんは,
以前,生物講座「遺伝子」で書いた思うんばってん
遺伝子の遺伝暗号に基づいて作られるんよ。
これば,セントラル・ドグマいうんばいね。
抗体が無限の数の相手に対して作られるいうことは
言い換えれば,無限の数の遺伝子が作られる
いうことなんよ。
どげんしてそれが可能かいうんば解明したんが
かの有名な利根川進博士なんよ。
利根川先生,この研究で
ノーベル医学生理学賞ば単独受賞したんよ。
日本人でノーベル医学生理学賞いうんは,
ほかにおらんのよ。
候補にあがった人としては,
ノーベル賞草創期に活躍した
野口英世博士やら,北里柴三郎博士やらおるばってんね。
単独受賞いうんは,ものすごかことなんよ。
ノーベル物理学賞やら化学賞やら受けた
他の研究者の方たち,
おおむねみんな共同受賞やもんね。
それはそれですごかし,輝きは少しも失せはせんばってんね。
利根川先生のすごさは,
日本の科学史ば代表するノーベル賞受賞者の中でも
ひときわ目立つもんいうことはわかってもらえたかしらん?
通常,遺伝子いうんは,DNAの一部のことで
基本的には変化せんのよ。
変化したら,それはいわゆる突然変異なんよ。
原因ば,突然変異原いうんよ。
放射能,紫外線,発ガン物質やらがそうばいね。
こげんな顔ぶれば見てわかる思うんばってん
遺伝子突然変異いうんは,決してよかことやないんよ。
二重らせん構造ばもつDNAの片方だけの傷害やったら,
もう片方の情報ば用いて
自前で修復できる機能も備わっちょるばいね。
遺伝子いうんは,不変ば是とするもん
いうことはわかってもらえたかしらん?
抗体遺伝子だけは,その例外で
いくつかのパーツから成り立っちょって
そのパーツの組み合わせによって
無限の種類の遺伝子ば
生み出すしくみがあるいうわけばいね。
このしくみば「抗体の多様性生成の遺伝的原理」いうんよ。
これぞ,ノーベル医学生理学賞単独受賞に輝いた
世紀の大研究なんよ。
こげんなしくみあるよって
将来にわたって,
どげん新しか種類の細菌やら,ウイルスやら
はたまた化学物質やらが襲ってきても
ちゃんと抗体ば作れるいうことなんよ。
おいどんたちの生命が
大自然の叡智によって
どげん大切に守られちょるか
わかってもらえたかしらん?
感動ば味わってもらえたかしらん?
T細胞の話にもどるんよ。
T細胞の中でも,
特に自己非自己の認識に働いて
異物との戦いにおける司令官役ば
務める細胞ばヘルパーT細胞いうんよ。
このヘルパーT細胞に,
異物の種類ごとの担当があるいうことなんばい。
エイズの原因であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)は
特異性免疫の要である
ヘルパーT細胞に主に感染して
細胞の遺伝子の中に潜んで
徐々に壊していくんよ。
ある段階までくると
もはや特異性免疫の能力ば
ことごとく失ってしまうよって
エイズば発症することになるんよ。
怖か話ばいね。
ばってん,同時に
エイズは,本来人に備わっちょる
免疫のしくみの素晴らしさも
また教えてくれたんよ。
草伏さんにお会いして,
長時間にわたって,話こむ機会ば
与えてもろうて,
少なくともおいどんは,そげん思うちょるんよ。
文字通り一期一会になった
その出会いに対して心から感謝しちょるんよ。
さて,異物に対する戦いの続きばい。
リンパ節にやってきたマクロファージが,
異物の一部ば提示したら,
ヘルパーT細胞が代わる代わるさわってみて
自分の担当やない判断した場合,
そのまま去っていくんよ。
さっきの理屈から
必ず担当者いうんがおるよって
いつかはそれに当たるはずばいね。
担当のヘルパーT細胞がさわった瞬間
事態は一変するんよ。
その細胞は激しく興奮し,
リンフォカイン呼ばれる物質ば放出して,
抗体ば作る役割ばもつ別のリンパ球に命令ば下すんよ。
こっちの細胞は,胸腺には行かず
骨髄で生まれて,直接リンパ節やらで働くよって
骨髄の英語“Bone Marrow”の頭のBばとって
B細胞いうんよ。
このB細胞こそが,抗体産生の役割ば担うちょるんよ。
T細胞が出したリンフォカインによって
B細胞も興奮し,激しく細胞分裂ばするんよ。
そして抗体産生細胞(形質細胞)になるとともに
一部は,異物(抗原)の情報ば“記憶”するんよ。
異物侵入から抗体産生までの期間は,
おおむね一週間なんよ。
インフルエンザにかかって治るまで
たいていそのぐらいやないかしらん?
今は,特効薬あるよって
3日で治るいう例もあるばってんね。
いっぺん侵入して“記憶”された異物(抗原)に対しては
すみやかに抗体が作られるよって
症状が出る間もなく治るんよ。
これば「二度なし現象」いうんよ。
ワクチンに代表される予防接種いうんは
この原理ば応用したもんなんよ。
昔は,このことば指して「免疫」呼んじょったんばいね。
抗体の正体ばタンパク質いうて書いたんばってん
名前ば免疫グロブリンいうんよ。
おおむねYの字の形ばしちょって
上の二股の部分で異物(抗原)に結合するしくみなんよ。
抗原と抗体が結合することが,
いわゆる「抗原抗体反応」ばい。
具体的には,凝集・沈降・沈殿いう反応が起こるんよ。
簡単にいうと,細菌やらウイルスやらば
だんご状に固めて,好中球やらマクロファージやらに
退治させるいうことばいね。よかかしらん?
抗体は,超強力ないわば最終兵器なんよ。
細菌やらウイルスやらがからだのどこに逃げ込もうと
残らず見つけ出して一網打尽にするんよ。
抗体さえ作れれば,長らく続いた戦いも,
晴れて人体側の勝利いう形で終結するんよ。
ばってん,中には毒素やらが強力で
からだが一週間ももたんいう場合があるばいね。
コレラやら,破傷風やら,ボツリニス菌やらばい。
あるいは,コブラやら,ハブやらに
噛まれるいうケースもあるばいね。
そげんな勝負の早い相手に対しては
どげんしたらよかかしらん?
方法は二つあるんよ。まず一つめは,前にも書いた
予防接種(ワクチン)ばいね。
これにもさらに2種類あるんよ。
・生ワクチン
これは人体に直接,弱めた細菌やらウイルスやらば
注射するケースばいね。
効果は高いばってん,
免疫不全患者には絶対してはいけんのど。
理由はわかるばいね。
・成分ワクチン
これは,効果は生ワクチンに比べると弱いばってん
安全性の高い方法なんよ。
要は抗原抗体反応ば起こして,
B細胞に“記憶”ばもたせて
「二度なし現象」ば作り出せばよかよって
細菌やらウイルスやらの破片でもよかいうことなんよ。
二つめは,主に毒に対する方法なんよ。
これば「血清療法」いうんよ。
ワクチンのごと,直接人体に入れて
抗体ば作らせるいうような悠長なことばしちょられん
緊急事態に対処する方法ばいね。
あらかじめ,ウサギさんやらウマさんやらに
ヘビさんやらの毒ば注射するんよ。
ヒトとおんなしごと,おおむね一週間で
ウサギさんやらウマさんやらの体内に抗体ができるばいね。
この抗体は,血液の液体部分(血しょう)にあるんよ。
血液ば血管から出したら
凝固するいうんば知っちょるかしらん?
主に血小板の働きなんばいね。
血小板から出た因子が血液中のカルシウムイオンと
相互作用ばして,フィブリンいう
繊維状のタンパク質ができるしくみなんよ。
このフィブリンが赤血球やら白血球やらば
からめる形で凝固が起こるんよ。
底に沈んだ塊ば,血餅いうんよ。
そして上澄みの方ば血清いうんばいね。
結果的に,毒に対して作られた
ウサギさんやらウマさんやらの抗体は
血清に含まれることになるいうんはわかるかしらん?
この血清ばまさかの時に備えて
冷蔵庫に保管しておくんよ。
万一,ヘビさんやらに噛まれた時は
それば注射すれば一命がとりとめられるいうわけなんよ。
ばってん,血清自体が
他の動物さんのタンパク質よって
いっぺん入った時に抗体ができるんよ。
おなじヘビさんに再度噛まれた時,
おんなし動物さん由来の血清は
絶対使えんいう理由はもうわかるかしらん?
(2)細胞性免疫(細胞免疫)
さて,特異性免疫の二つめは細胞性免疫なんよ。
おいどんが研究しちょったアジュバントいうんは
この免疫を賦活するいうもんなんよ。
体液性免疫との違いば簡単に書くと
要するに「抗体ができん」いうことなんよ。
抗体が異物(抗原)ば倒すんが体液性免疫で
細胞が異物(抗原)ば倒すんが細胞性免疫いうて
おぼえてもらえるとうれしかばいね。
よかかしらん?
ここでの主役は,ヘルパーT細胞と
おんなしT細胞仲間のキラーT細胞なんよ。
キラーいうんは,「殺し屋」ばいね。
まさにその名の通り,ドリルのごと穴ば開けて
正確に相手ば倒す細胞なんよ。
“何となく”怪しい細胞ばやっつける
ナチュラルキラー細胞のことばおぼえちょるかしらん?
キラーT細胞は,“何となく”やなくて
“確実に”あやしい細胞ば倒す細胞なんばいね。
しくみ的には,体液性免疫の場合とよう似ちょるんよ。
異物(抗原)が小さな細菌やらウイルスやなくて
大きい細胞の塊いうんが大きな違いばいね。
わかりやすい例で書くと,ガン細胞なんよ。
ガンと癌の違いば説明するいうて書いちょったよって
よしやるどの信念で,ここに書くことにするど。
漢字の“癌”いうんは,上皮組織に生じる悪性腫瘍ばいうんよ。
いわゆる○○癌いう名前のもんは全部そうばいね。
胃癌,肺癌,肝臓癌,皮膚癌すべて上皮系なんよ。
興味深い事実として未成年の人は
いわゆる癌には滅多にかからんいうんがあるんよ。
かかるのはおおむね癌以外の悪性腫瘍ばいね。
すなわち,上皮組織以外になるよって
結合組織(骨,軟骨,血液,リンパ液など)
筋組織(骨格筋,心筋,内臓筋など)
神経組織(脳,脊髄,末梢神経など)
いうことなんよ。
これらの場所に生じる悪性腫瘍は,
名前に癌ばつけんで
肉腫やら,白血病やら,リンパ腫やら,脳腫瘍やら
言うばいね。
これらも広く含めて,悪性腫瘍全体ば指すとき
カタカナで“ガン”もしくはひらがなで“がん”言うんよ。
各県にあるがんセンターは,
癌センターとは書かんのよ。理由はもうわかったかしらん?
脱線したよって元にもどすんよ。
ガン細胞いうんは,文字通り身から出たさびよって
もともとは,れっきとした自分の細胞なんよ。
つまり“自己”ばいね。
それが,ある日ある時,
ガン化して“非自己”になるんよ。
原因は,おおむね突然変異原とおんなしよって
放射能,紫外線,それに発ガン物質ばいね。
体温の低下もガン発生の原因になるらしかよって
体重ば計るんとおんなしごと,
日頃から体温計で温度測って
万一,平熱が36度未満やらになっちょったら
上げる努力する方がよかかもね思うんよ。
もとは自分の細胞でも,
ガン細胞には特有のタンパク質あるよって
それが目印になるんよ。
もはや“自己”ではなく“非自己”やもんね。
排除すべき敵いうことばい。
その判断下すんも,
体液性免疫の時とおんなしヘルパーT細胞なんよ。
「この細胞“非自己”である。排除すべし」いうて
リンフォカインば放出し,
そればキラーT細胞が受け取ると
例のドリルのごと穴ばうがつしくみでもって
ガン細胞ば見事に退治するいうわけなんよ。
体液性免疫で,B細胞の一部が“記憶”したんと同様に
やっぱし“記憶”の働きもあって,
二度目以降の侵入に備えるんよ。
ガン細胞以外では,B型やらC型やらの
ウイルス性肝炎の場合,
ウイルスの印がついた細胞ば
“非自己”として
キラーT細胞が破壊し尽くすいうケースがあるんよ。
極端な場合,たったの一晩のうちにでも起こるらしかね。
これがいわゆる「劇症肝炎」なんよ。怖いばいね。
細胞性免疫としては,ツベルクリン反応も有名ばいね。
これはいわゆる遅延型アレルギーいうんよ。
普通のアレルギーは即時型なんばってん,
結核菌感染の有無ば調べるツベルクリンの場合,
細胞性免疫よって,遅延型になるんばいね。
おおむね一日ぐらいたって,
赤く腫れるかどうかで感染の有無がわかるんよ。
細胞性免疫の能力は十代のころ,
どんくらい運動ばしたかで大きく変わるいう研究が
なされちょるんよ。
十代のころ,勉強ばっかしして過ごすいうんは
免疫学的には決して好ましくないいうことばいね。
おいどんも十代の子どもの親よって
十分心したい思うちょるんよ。
長らく説明してきたばってん
免疫のしくみの複雑さと,その精妙さ
理解してもらえたかしらん?
どげんな生薬やら化学物質やらが
免疫ば高めるか人によって差があるいうんも
わかってもらえるかしらん?
サルノコシカケから抽出されちょる
クレスチンいう抗がん剤やらあるばってん
効く,効かんは一概に言えんし,
副作用もあるよってね。
丸山ワクチンも効果の差が
あまりにも大きいよって認可が下りんしね。
ものすご効くいう可能性もあるよって
試してみる価値はあるかもしれんばいね。
免疫には,心の影響も大きいよって
ストレスためんごと,
心晴れ晴れ生きるいうんが大切やないかしらん?
何でんかんでん「よかである」いう
おいどん精神こそ,免疫アップの秘訣かもしれんね。
こげんことばっかし考えちょるおいどんって,
やっぱしばかなんかしらん?
読まれた方は,押していただくと嬉しいです。(現在第16位にランクイン)
→BEST BLOGランキング「教育・学問・科学」部門
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)