2005年9月25日 (日)

恒常性分野(2)免疫のしくみ

生物教師の情報教育奮闘記は,こちらです。

生物教師の作品集「いのちのエイズ教育」(完全収録済)は,こちらです。

2年越しの超大作「恒常性(2)免疫のしくみ」ば
ようやく書き上げたど。
ものすごかボリュームなんど。
おいどん渾身の一作読んで死むな(笑)。

おいどん,幼少のみぎり
ウイルムス腫瘍いう腎臓にできる小児ガンで
死む子どもを題材とした
テレビドラマば見たんよ。
題名ば「君は海を見たか」いうんよ。
おいどん,それまでガンいう病気のことば
詳しくは知らんやったばってん,
以後ものすご意識するようになったんよ。

ちなみにおいどんが
ガンいうカタカナで
書いちょるのも意味があるんよ。
漢字ば知らん訳じゃもちろんないんばい。
漢字の癌やとこの場合,あてはまらんけんなんよ。
その理由は後で説明することにするばい。

おいどん,幼な心に自分もガンば研究して,
ドラマの中の子どものごと
悲しか目に遭う人ばなくしたい思うたんよ。
勉強したい気持ちがあったよって,
小学生の時からガンについて書かれた新書本ば
読んだりしちょったんよ。

当時,ガンもウイルスが原因で起こることがある
言われ始めちょって,
自分なりに生命とウイルスの関係ば
考察したりしちょったんばい。

ウサギの耳にコールタールば塗り続けて,
世界で初めて人工的に化学物質が原因で
ガンが発生することば証明した
山極勝三郎博士のことば知って,
密かに尊敬しちょったんよ。
結核に冒されて血ば吐きながら,
自分の信念ば貫き通して
ついにガンの原因の一つば突き止めたばいね。

当時イギリスには
工場の煙突ば掃除する役割の人がおって,
その人たちに膀胱癌が多発しちょったんよ。
山極博士の研究成果は
工場の煤煙と膀胱癌との間に因果関係があることば
裏づけたわけなんよ。すごかばいね。

おいどん,血ば見るのが大の苦手よって,
お医者さんになるつもりはなかったんよ。
なりきらんもんね。
よく生徒さんからお医者さんみたいやとか,
お医者さんになればよかったのにとか
言われるばってん,
人には向き不向きがあるんよ。
おいどん,生物の先生ばってん,
勉強はお医者さんに負けんごと
したつもりなんよ。

おいどん,中学校,高校と進んで
現役では大学に受かり切らんで浪人ばしたんよ。
そん時,高校や予備校の生物の先生
によ~く相談ばして,
将来研究者になるのに
どこで学ぶのが一番よかか検討したんよ。
結果,選んだんが農学部農芸化学科やったんよ。

おいどん,紆余曲折はあったばってん
(このへんの経緯については
また機会があったら詳しく書くんよ)
志望通りに国立大学(鳥取大学)の
農学部農芸化学科に入学ばしたんよ。

おいどんのおった農芸化学科,
当時全国一進級が厳しい言われちょったんよ。
2年から3年になる時,
クラスの半分以上が留年したんばい。
おいどんは何とか順調に
4年生まで進むことができて,
「環境生物化学」いう研究室に配属になり,
念願のガンに関する研究ばしたんよ。

おいどんのおった研究室,
エビやカニの甲羅から取れる
キチン・キトサンの研究では
世界的に有名なところやったんど。
おいどんがおった1年間だけでも
テレビ番組ば作るためいうて,
NHKとなるほど・ザ・ワールド
(今もこの番組あるんかしらん?)が
取材に来たもんね。よかである。

おいどんの研究テーマは
キチン・キトサンからガンの免疫ば高める
いわゆるアジュバント作用ばもつ物質ば
作ろういうもんなんよ。
キチン・キトサンは生体由来の物質よって
副作用のあんましないアジュバントになる
いう期待があったんよ。

この研究の過程で,
おいどん,N-アニリノアセチルキトサンいう物質ば
世界で初めて作り出すことに成功したんよ。
特許そのものはおおむね教授か研究室の名前で
その後取ったんやろうばってんね。
おいどん,大学院も行かんで研究の道ば絶ったよって,
その後のことはよう知らんのよ(笑)。

こげん風に,おいどん免疫に関する研究ばしちょったよって,
この分野に関しては案外これでもオーソリチーなんよ。
教科書ば作るときも,
他の単元以上に内容ば厳しくチェックするんよ。
おいどんの関係しちょる教科書,
この分野の記述に関する正確さについては
他社の追随を許さん思うちょるんよ。よかである。

前置きがものすご長くなったばってん,
今から免疫の解説に入るんよ。
免疫のしくみは大きく2つに分かれ,
さらにそのうちの1つが2つに分かれるんばい。
順ば追って説明するばいね。

【1】非特異的免疫

あんまし目立たんし,
教科書ではほとんど取り上げられんばってん,
(おいどんは取り上げるべく提言はしちょるんよ)
実はおおむね一番大事な免疫なんよ。
おいどんが会って話しばした
エイズ患者の草伏村生さん(ペンネーム),
後で書くところの免疫能力が0に近づいたんに,
意外に風邪もひかん言うてあったんよ。
その秘密はこの免疫にあるんよ。

まず,からだの強力なバリアであるところの皮膚の傷やら,
皮膚に比べると弱いバリアである粘膜ば通して,
細菌・ウイルス・毒物といったいわゆる異物が
体内に侵入するとこからばいね。
たちまち血管の中から白血球の一種であるところの
好中球が抜け出して行って,
よし食うどの信念(はないばってん(笑))で
異物ば食うんよ。
この働きば食作用いうばいね。

1個の好中球は,
細菌やったらおおむね25個ぐらい食うんよ。
それ以上は無理よって,
食うた細菌もろとも死むばいね。
この死骸がいわゆる膿やら痰やらになるんよ。
きちゃないとかいうて
忌み嫌うたらいけんのよ。
膿やら痰やらはちゃんと地面に埋めて,
「白血球様の墓」いう墓標ば立てて
手厚く葬らないけんね。
ほんとにそげんことしちょったら,
おいどんみたいにばかかしらん?言われるよって,
気持ちだけはいうことばいね(笑)。
雄々しく戦ってくれた細胞の集団力さんに
おいどん心から敬意ば表しちょるんよ。

好中球以外にも好酸球・好塩基球いうんがあって,
アレルギーやら寄生虫病やらに関与しちょるんよ。
これまで,アレルギーの主役は
好酸球いわれちょったんばってん
最近の研究で,意外なことに数が少ない好塩基球の方が
実は主役やったいうことがわかってきたらしかばいね。
重症のアレルギー症であるところの,
喘息やらアトピー性皮膚炎やらの
根本治療に道が開ける可能性があるらしいんよ。
大いに期待したいもんばいね。

忘れたらいけんのが
ナチュラルキラー細胞なんよ。
この細胞が血液中でどんくらい働いちょるかば
NK活性いうばいね。
結構大事な数値なんよ。
おいどんの上の子が幼少のみぎり,
その数値が少し低い言われて心配したことがあったんよ。
幸い回復したばってんね。

ナチュラルキラー細胞は,ウイルスに感染したり,
ガン化したりしたような何となく怪しい細胞ば
見つけたら退治しようとするんよ。
この“何となく”いうところがミソなんよ。
特定はできんわけなんよね。
それが非特異的免疫いわれるゆえんばいね。
わかったかしらん?

【2】特異的免疫

 (1)体液性免疫(液性免疫)

これぞ,免疫機能の中枢ば担うものなんよ。
一般に免疫いうたらこればさすばいね。
この免疫の主役は,抗体なんよ。
抗体は血液中に含まれるよって,
体液性免疫いう名前になるんばいね。よかかしらん?

抗体が作られるしくみば説明するんよ。
まず,非特異的免疫のところで説明した
好中球いうんが,
体内に侵入したた細菌やらウイルスば食う
いうんはよかかしらん?
好中球も細胞よって,
細胞分裂で増えて敵と戦うんばってん
細菌やらは,分裂速度が好中球とは比較にならんぐらい
大きいよって,食うても食うても追いつかんばいね。

ウイルスの場合は,分裂はせんばってん
宿主である細胞の内部で子どもの大集団力ば作るんよ。
その子どもの大集団力がいっせいに元の細胞ば飛び出て,
健康なほかの細胞に取り付いて
破壊するいうわけなんよ。

おいどんたちがインフルエンザやらの
ウイルス性の病気に感染したとき
こげんことが体内あちこちで
起こっちょるいうわけなんばいね。
ほっとくと火の海みたいになるんよ。

全身に細菌がばらまかれて増えまくったら,
いわゆる敗血症なんよ。
勝負は負けばいね。まず助からんのよ。
そげんならんためにも,細菌やらウイルスは
“おおむね”やなくて“完璧に”やっつけないけんのど。
この主役が特異的免疫なんよ。

好中球が食うてもおっつかんごとなって
形勢不利になったら,援軍が出るんよ。
それがマクロファージなんよ。
これも白血球の仲間なんばってん,でかかど。
好中球とは比べ物にならん巨大な細胞なんよ。

しかも,好中球は体当たり的に細菌やらウイルスば
自分の中に包み込んでやっつけるやり方ばってん
マクロファージは賢いんよ。
からだから,触手の大集団力ば出して
ピンポイント的に細菌やらウイルスば
からめとって食うんよ。
すなわち,そこに敵がおるいうんば
正確にキャッチするいうことなんよ。
光もなか体内で,もちろん目に当たるんもないんよ
不思議ばいね。神秘的なんよ。
おおむね,物質に対する反応ばいね。
マクロファージ様いうんは,ありがたか存在なんよ。
足ば向けては寝られんばいね(笑)。

マクロファージのすごさは,それだけやないんよ。
自ら最前線で戦うと同時に,伝令役も務めるんよ。
なお形勢不利と判断すると
細菌やらウイルスやらのからだの一部ばちぎって
司令官役の細胞(リンパ球の一種でT細胞いうんよ)が
おるところのリンパ節(リンパ腺ともいうんよ)に向かうんよ。
以後,リンパ節にまで戦線が拡大することになるんばいね。
風邪ひいたり,虫歯になったりしたとき
リンパ腺が腫れるいうんは,こういうことなんよ。
いわゆる炎症が起こっちょるんばいね。

ここでリンパ球について解説しちょくんよ。
リンパ球も白血球の仲間よって
ふるさとはやっぱし骨髄なんよ。
血液中の細胞ばまとめて血球いうんばってん
すべてふるさとは骨髄ばい。
骨盤やら大腿骨やらの太か骨の中にあるんよ。
どろどろしちょる中にある
骨髄幹細胞いうんが,
すべての血球のもというわけなんよ。

血液は,血球と血しょうから
できちょるいうんは知っちょるかしらん?
リンパ液もおんなしごと,リンパ球とリンパしょうから
できちょるんよ。
リンパ球いうんは,リンパ液中の細胞成分いうわけなんよ。
よかかしらん?

骨髄で生まれたリンパ球のうちの一部は,
心臓の近くにある胸腺いうところに送られるんよ。
胸腺ば英語で“Thymus”いうよって,頭のTばとって
このリンパ球ばT細胞呼ぶんよ。

胸腺は,実のところT細胞の学校なんばいね。
おいどんたちの世界の学校は,成績悪くて落第しても
最悪,やめないけんぐらいで済むばってん
(これももちろん大変なことばってんね)
リンパ球の学校,厳しかど。落第=死なんよ。
間違いいうんば許されん世界よって
エリート中のエリートだけば選別するしくみなんよ。

この学校,何ば勉強するんかわかるかしらん?
ずばり「自己と非自己の認識」なんよ。
これが正確無比にできんと
T細胞の仕事は務まらんのよ。

「自己免疫疾患」いうんば
知っちょるかしらん?
よく知られたところでは
リューマチやら全身性エリマトーデスやらが
あるばいね。
これらの病気は,自己と非自己の認識が
あいまいになってしもうて
自分の免疫細胞が自分のほかの細胞ば
攻撃するいう疾患なんよ。
怖い話ばいね。

T細胞がミスするいうんは,
からだにとって,こげん重大な問題ば
引き起こしかねんのよ。
よって,徹底的にミスせんもんば選ぶには
ミスした細胞ば抹殺していくしかないいうことなんよ。

しかもさらにやっかいな話があるんよ。
非自己いうんは,異物いうように
言い換えてもいいんよ。
異物の種類としては,
すでに出てきた細菌・ウイルスやらのほかに
毒物に代表される化学物質もなんよ。
(いまはアスベストが大問題になっちょるばいね)

ハテ?異物の種類っていくつあるんかしらん?
千?一万?一億?????
ハテ?仮に異物が一億あるいうて,今数えたとして,
おいどんがこの世に生み出した
N-アニリノアセチルキトサンのごと
新しか物質が毎日ごまんと作られちょるばいね。
それらは,どげんなるんかしらん?
人類の歴史は,これからも
ずっと続くはずなんよね。

そうなんよ。異物の種類いうんは
実は無限に存在するいうことなんよ。
ハテ?特異性免疫いうんは,
無限の相手に対して通用するもんなんかしらん?
そうやないとしたら
非自己いうて正確に認識し,排除できんもんが
いつの日か現れてきたとしたら
大変な事態が生じるばいね。

おいどん,生命の神秘あまたあれど
これに勝るもんはないんやないかしらん?
思うぐらい,この事実ば知って感動したんよ。
さっきの問い
「特異性免疫は,無限の相手に通用するか?」
答えは,YESなんよ。
びっくりしたかしらん?

前に説明したごと,特異性免疫の主役は抗体なんよ。
抗体の正体は,タンパク質ばいね。
タンパク質いうんは,
以前,生物講座「遺伝子」で書いた思うんばってん
遺伝子の遺伝暗号に基づいて作られるんよ。
これば,セントラル・ドグマいうんばいね。
抗体が無限の数の相手に対して作られるいうことは
言い換えれば,無限の数の遺伝子が作られる
いうことなんよ。

どげんしてそれが可能かいうんば解明したんが
かの有名な利根川進博士なんよ。
利根川先生,この研究で
ノーベル医学生理学賞ば単独受賞したんよ。
日本人でノーベル医学生理学賞いうんは,
ほかにおらんのよ。
候補にあがった人としては,
ノーベル賞草創期に活躍した
野口英世博士やら,北里柴三郎博士やらおるばってんね。

単独受賞いうんは,ものすごかことなんよ。
ノーベル物理学賞やら化学賞やら受けた
他の研究者の方たち,
おおむねみんな共同受賞やもんね。
それはそれですごかし,輝きは少しも失せはせんばってんね。
利根川先生のすごさは,
日本の科学史ば代表するノーベル賞受賞者の中でも
ひときわ目立つもんいうことはわかってもらえたかしらん?

通常,遺伝子いうんは,DNAの一部のことで
基本的には変化せんのよ。
変化したら,それはいわゆる突然変異なんよ。
原因ば,突然変異原いうんよ。
放射能,紫外線,発ガン物質やらがそうばいね。
こげんな顔ぶれば見てわかる思うんばってん
遺伝子突然変異いうんは,決してよかことやないんよ。
二重らせん構造ばもつDNAの片方だけの傷害やったら,
もう片方の情報ば用いて
自前で修復できる機能も備わっちょるばいね。

遺伝子いうんは,不変ば是とするもん
いうことはわかってもらえたかしらん?
抗体遺伝子だけは,その例外で
いくつかのパーツから成り立っちょって
そのパーツの組み合わせによって
無限の種類の遺伝子ば
生み出すしくみがあるいうわけばいね。
このしくみば「抗体の多様性生成の遺伝的原理」いうんよ。
これぞ,ノーベル医学生理学賞単独受賞に輝いた
世紀の大研究なんよ。

こげんなしくみあるよって
将来にわたって,
どげん新しか種類の細菌やら,ウイルスやら
はたまた化学物質やらが襲ってきても
ちゃんと抗体ば作れるいうことなんよ。
おいどんたちの生命が
大自然の叡智によって
どげん大切に守られちょるか
わかってもらえたかしらん?
感動ば味わってもらえたかしらん?

T細胞の話にもどるんよ。
T細胞の中でも,
特に自己非自己の認識に働いて
異物との戦いにおける司令官役ば
務める細胞ばヘルパーT細胞いうんよ。
このヘルパーT細胞に,
異物の種類ごとの担当があるいうことなんばい。

エイズの原因であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)は
特異性免疫の要である
ヘルパーT細胞に主に感染して
細胞の遺伝子の中に潜んで
徐々に壊していくんよ。
ある段階までくると
もはや特異性免疫の能力ば
ことごとく失ってしまうよって
エイズば発症することになるんよ。
怖か話ばいね。

ばってん,同時に
エイズは,本来人に備わっちょる
免疫のしくみの素晴らしさも
また教えてくれたんよ。
草伏さんにお会いして,
長時間にわたって,話こむ機会ば
与えてもろうて,
少なくともおいどんは,そげん思うちょるんよ。
文字通り一期一会になった
その出会いに対して心から感謝しちょるんよ。

さて,異物に対する戦いの続きばい。
リンパ節にやってきたマクロファージが,
異物の一部ば提示したら,
ヘルパーT細胞が代わる代わるさわってみて
自分の担当やない判断した場合,
そのまま去っていくんよ。
さっきの理屈から
必ず担当者いうんがおるよって
いつかはそれに当たるはずばいね。

担当のヘルパーT細胞がさわった瞬間
事態は一変するんよ。
その細胞は激しく興奮し,
リンフォカイン呼ばれる物質ば放出して,
抗体ば作る役割ばもつ別のリンパ球に命令ば下すんよ。
こっちの細胞は,胸腺には行かず
骨髄で生まれて,直接リンパ節やらで働くよって
骨髄の英語“Bone Marrow”の頭のBばとって
B細胞いうんよ。

このB細胞こそが,抗体産生の役割ば担うちょるんよ。
T細胞が出したリンフォカインによって
B細胞も興奮し,激しく細胞分裂ばするんよ。
そして抗体産生細胞(形質細胞)になるとともに
一部は,異物(抗原)の情報ば“記憶”するんよ。
異物侵入から抗体産生までの期間は,
おおむね一週間なんよ。
インフルエンザにかかって治るまで
たいていそのぐらいやないかしらん?
今は,特効薬あるよって
3日で治るいう例もあるばってんね。

いっぺん侵入して“記憶”された異物(抗原)に対しては
すみやかに抗体が作られるよって
症状が出る間もなく治るんよ。
これば「二度なし現象」いうんよ。
ワクチンに代表される予防接種いうんは
この原理ば応用したもんなんよ。
昔は,このことば指して「免疫」呼んじょったんばいね。

抗体の正体ばタンパク質いうて書いたんばってん
名前ば免疫グロブリンいうんよ。
おおむねYの字の形ばしちょって
上の二股の部分で異物(抗原)に結合するしくみなんよ。
抗原と抗体が結合することが,
いわゆる「抗原抗体反応」ばい。
具体的には,凝集・沈降・沈殿いう反応が起こるんよ。
簡単にいうと,細菌やらウイルスやらば
だんご状に固めて,好中球やらマクロファージやらに
退治させるいうことばいね。よかかしらん?

抗体は,超強力ないわば最終兵器なんよ。
細菌やらウイルスやらがからだのどこに逃げ込もうと
残らず見つけ出して一網打尽にするんよ。
抗体さえ作れれば,長らく続いた戦いも,
晴れて人体側の勝利いう形で終結するんよ。

ばってん,中には毒素やらが強力で
からだが一週間ももたんいう場合があるばいね。
コレラやら,破傷風やら,ボツリニス菌やらばい。
あるいは,コブラやら,ハブやらに
噛まれるいうケースもあるばいね。
そげんな勝負の早い相手に対しては
どげんしたらよかかしらん?

方法は二つあるんよ。まず一つめは,前にも書いた
予防接種(ワクチン)ばいね。
これにもさらに2種類あるんよ。

・生ワクチン
これは人体に直接,弱めた細菌やらウイルスやらば
注射するケースばいね。
効果は高いばってん,
免疫不全患者には絶対してはいけんのど。
理由はわかるばいね。

・成分ワクチン
これは,効果は生ワクチンに比べると弱いばってん
安全性の高い方法なんよ。
要は抗原抗体反応ば起こして,
B細胞に“記憶”ばもたせて
「二度なし現象」ば作り出せばよかよって
細菌やらウイルスやらの破片でもよかいうことなんよ。

二つめは,主に毒に対する方法なんよ。
これば「血清療法」いうんよ。
ワクチンのごと,直接人体に入れて
抗体ば作らせるいうような悠長なことばしちょられん
緊急事態に対処する方法ばいね。

あらかじめ,ウサギさんやらウマさんやらに
ヘビさんやらの毒ば注射するんよ。
ヒトとおんなしごと,おおむね一週間で
ウサギさんやらウマさんやらの体内に抗体ができるばいね。
この抗体は,血液の液体部分(血しょう)にあるんよ。

血液ば血管から出したら
凝固するいうんば知っちょるかしらん?
主に血小板の働きなんばいね。
血小板から出た因子が血液中のカルシウムイオンと
相互作用ばして,フィブリンいう
繊維状のタンパク質ができるしくみなんよ。
このフィブリンが赤血球やら白血球やらば
からめる形で凝固が起こるんよ。
底に沈んだ塊ば,血餅いうんよ。
そして上澄みの方ば血清いうんばいね。

結果的に,毒に対して作られた
ウサギさんやらウマさんやらの抗体は
血清に含まれることになるいうんはわかるかしらん?
この血清ばまさかの時に備えて
冷蔵庫に保管しておくんよ。
万一,ヘビさんやらに噛まれた時は
それば注射すれば一命がとりとめられるいうわけなんよ。

ばってん,血清自体が
他の動物さんのタンパク質よって
いっぺん入った時に抗体ができるんよ。
おなじヘビさんに再度噛まれた時,
おんなし動物さん由来の血清は
絶対使えんいう理由はもうわかるかしらん?

 (2)細胞性免疫(細胞免疫)

さて,特異性免疫の二つめは細胞性免疫なんよ。
おいどんが研究しちょったアジュバントいうんは
この免疫を賦活するいうもんなんよ。

体液性免疫との違いば簡単に書くと
要するに「抗体ができん」いうことなんよ。
抗体が異物(抗原)ば倒すんが体液性免疫で
細胞が異物(抗原)ば倒すんが細胞性免疫いうて
おぼえてもらえるとうれしかばいね。
よかかしらん?

ここでの主役は,ヘルパーT細胞と
おんなしT細胞仲間のキラーT細胞なんよ。
キラーいうんは,「殺し屋」ばいね。
まさにその名の通り,ドリルのごと穴ば開けて
正確に相手ば倒す細胞なんよ。

“何となく”怪しい細胞ばやっつける
ナチュラルキラー細胞のことばおぼえちょるかしらん?
キラーT細胞は,“何となく”やなくて
“確実に”あやしい細胞ば倒す細胞なんばいね。

しくみ的には,体液性免疫の場合とよう似ちょるんよ。
異物(抗原)が小さな細菌やらウイルスやなくて
大きい細胞の塊いうんが大きな違いばいね。
わかりやすい例で書くと,ガン細胞なんよ。

ガンと癌の違いば説明するいうて書いちょったよって
よしやるどの信念で,ここに書くことにするど。
漢字の“癌”いうんは,上皮組織に生じる悪性腫瘍ばいうんよ。
いわゆる○○癌いう名前のもんは全部そうばいね。
胃癌,肺癌,肝臓癌,皮膚癌すべて上皮系なんよ。
興味深い事実として未成年の人は
いわゆる癌には滅多にかからんいうんがあるんよ。
かかるのはおおむね癌以外の悪性腫瘍ばいね。

すなわち,上皮組織以外になるよって
結合組織(骨,軟骨,血液,リンパ液など)
筋組織(骨格筋,心筋,内臓筋など)
神経組織(脳,脊髄,末梢神経など)
いうことなんよ。
これらの場所に生じる悪性腫瘍は,
名前に癌ばつけんで
肉腫やら,白血病やら,リンパ腫やら,脳腫瘍やら
言うばいね。
これらも広く含めて,悪性腫瘍全体ば指すとき
カタカナで“ガン”もしくはひらがなで“がん”言うんよ。
各県にあるがんセンターは,
癌センターとは書かんのよ。理由はもうわかったかしらん?

脱線したよって元にもどすんよ。
ガン細胞いうんは,文字通り身から出たさびよって
もともとは,れっきとした自分の細胞なんよ。
つまり“自己”ばいね。
それが,ある日ある時,
ガン化して“非自己”になるんよ。

原因は,おおむね突然変異原とおんなしよって
放射能,紫外線,それに発ガン物質ばいね。
体温の低下もガン発生の原因になるらしかよって
体重ば計るんとおんなしごと,
日頃から体温計で温度測って
万一,平熱が36度未満やらになっちょったら
上げる努力する方がよかかもね思うんよ。

もとは自分の細胞でも,
ガン細胞には特有のタンパク質あるよって
それが目印になるんよ。
もはや“自己”ではなく“非自己”やもんね。
排除すべき敵いうことばい。

その判断下すんも,
体液性免疫の時とおんなしヘルパーT細胞なんよ。
「この細胞“非自己”である。排除すべし」いうて
リンフォカインば放出し,
そればキラーT細胞が受け取ると
例のドリルのごと穴ばうがつしくみでもって
ガン細胞ば見事に退治するいうわけなんよ。
体液性免疫で,B細胞の一部が“記憶”したんと同様に
やっぱし“記憶”の働きもあって,
二度目以降の侵入に備えるんよ。

ガン細胞以外では,B型やらC型やらの
ウイルス性肝炎の場合,
ウイルスの印がついた細胞ば
“非自己”として
キラーT細胞が破壊し尽くすいうケースがあるんよ。
極端な場合,たったの一晩のうちにでも起こるらしかね。
これがいわゆる「劇症肝炎」なんよ。怖いばいね。

細胞性免疫としては,ツベルクリン反応も有名ばいね。
これはいわゆる遅延型アレルギーいうんよ。
普通のアレルギーは即時型なんばってん,
結核菌感染の有無ば調べるツベルクリンの場合,
細胞性免疫よって,遅延型になるんばいね。
おおむね一日ぐらいたって,
赤く腫れるかどうかで感染の有無がわかるんよ。

細胞性免疫の能力は十代のころ,
どんくらい運動ばしたかで大きく変わるいう研究が
なされちょるんよ。
十代のころ,勉強ばっかしして過ごすいうんは
免疫学的には決して好ましくないいうことばいね。
おいどんも十代の子どもの親よって
十分心したい思うちょるんよ。

長らく説明してきたばってん
免疫のしくみの複雑さと,その精妙さ
理解してもらえたかしらん?
どげんな生薬やら化学物質やらが
免疫ば高めるか人によって差があるいうんも
わかってもらえるかしらん?
サルノコシカケから抽出されちょる
クレスチンいう抗がん剤やらあるばってん
効く,効かんは一概に言えんし,
副作用もあるよってね。
丸山ワクチンも効果の差が
あまりにも大きいよって認可が下りんしね。
ものすご効くいう可能性もあるよって
試してみる価値はあるかもしれんばいね。

免疫には,心の影響も大きいよって
ストレスためんごと,
心晴れ晴れ生きるいうんが大切やないかしらん?
何でんかんでん「よかである」いう
おいどん精神こそ,免疫アップの秘訣かもしれんね。
こげんことばっかし考えちょるおいどんって,
やっぱしばかなんかしらん?

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2005年1月19日 (水)

気功講座(2)

呼吸の方法は理解かつ実践できたかしらん?

次の段階は「気感」なんよ。気は感じるものなんばいね。
呼吸さえ正しくできちょけば,この段階をクリアするんはおおむね簡単なんよ。

「気感」ば感じやすくするための準備運動について説明するんよ。
立って,左足を前,右足を後にするんよ。
その形のまま,両手を前後に振るんよ。
力ば入れる必要はないよって,ぶらぶらさせる形でいいんよ。
こん時,手が前後するんに合わせて,軽く腰も前後に振るとやりやすかばいね。
自分のリズムで前後に振るんを数ば数えて,
そうやね20回もすればいいかしらん?
冬は寒いよって,少し多めの方がいいかもしれんね。

こうしてある程度手がぬくもった状態で,いよいよ本番なんよ。
今回もまた順番に詳しく書くばい。よかである。

(1)姿勢は,立ったままでも座ってでもよかよって,
左右の人差し指と人差し指の腹の部分ばぶつからん程度に近づけるんよ。
(2)この状態で,例の呼吸法ばするんよ。
たまった分ば吐いて,自然に吸ったら,しばらく気海(丹田)にためて,
ゆっくりと意識して吐くいう感じやね。
(3)この吐く時に両方の指ばまわすような動きばするんど。
磁石のSとSもしくはNとNば近づけた時のごたる妙な反発感とか
指にじんじんくる感覚とかがあったら,それこそが「気感」なんよ。
このフィーリングばしっかりおぼえないけんのよ。わかるかしらん?
(4)人差し指どうしで十分「気感」がつかめるようになったら,
横に中指ば添えて,2本どうしでやってみるとよか。
単純に考えて,「気感」の強さは倍になるはずばいね。
(5)2本でできるようになったら,さらに薬指ば添えて3本で,
それもOKなら小指を添えて4本でと1本ずつ本数ば増やしてみるばいね。
4本でも大丈夫かしらん?どんどん「気感」が強くなるかしらん?
この辺で焦ってはいけんよって,「気感」が感じれんようになったら,
また人差し指だけに戻して根気強くせないけんのよ。
指に意識がいきすぎて,呼吸がおろそかになってくる人が多いよって,
注意せないけん。
意識するんは,あくまでゆっくりと吐くいうことなんよ。
(6)4本で十分「気感」が感じきれるようになったら,
最後に親指を加えて5本にするばいね。
この頃には自然と手の平全体で「気感」が感じられるようになっちょるはずばい。
自分の両方の手の間に気の塊があるんがわかるかしらん。
(7)気の塊ば感じながら,呼吸法ば続けるんよ。
吐く時に両手の間に気がたまっていくような感覚があればしめたもんなんよ。
(8)呼吸法ば続けながら,
ゆっくりとまん中の気ば丸めるような気持ちで指を自然に曲げていくんよ。
中にある気の塊も一緒に丸くなる感覚あるかしらん?
(9)気がまるくなった感じがするんやったら,
ひじから先を回転させるごとして,中の気の塊ばまわすんよ。
これば「気のボール」いうんよ。
(10)気のボールが作れたら,
呼吸法で息ば吐くたびにボールが少しずつ大きくなる感覚ば確かめるんよ。
「気のボール」が作れるごとなったら,十分入門編は卒業なんよ。よかである。

気功はやりすぎたら,偏差いうて副作用がある言われちょるんで,
あんまし長時間はせんがよかよ。
今日のところは「気のボール」が作れただけで満足して,
ここでやめちょくがよか。

やめ方も大事なんよ。このままやったら,
ボールの形にした気がからだから出ていきっぱなしになるよって,
息ば吐く時に,両手の間にたまった「気」ば
おおむねへその上あたりの気海(丹田)にしまうごとするんよ。
両手をお腹に当ててよかばい。
これで気は外に逃げていかんで自分のからだに戻るいうわけなんよ。

慣れてきたらついついさぼりがちばってんいけんのよ。
気ば逃がしよったら,気虚(ききょ)いうて
からだん中の気が足りんごとなるよってね。

途中でうまくいかんごとなったら,焦らず前の段階に戻るいうことが大事なんよ。
何事も1歩1歩よってね。
一緒にやる師がおると上達も早いんばってん,
なにぶんおいどんができるのは文字の形で方法を伝えるだけよってね。
よかである。おいどん,やっぱしばかかしらん?

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2005年1月18日 (火)

気功講座(1)

まずは,呼吸の意味からなんよ。

呼吸の呼とは,「呼く」すなわち「はく」いう意味なんよ。
呼吸の吸は誰でも知っちょるごと「吸う」ばいね。
これがなぜ極意かいうと,順番ば示しちょるからなんよ。
呼吸は,まずはいて,それから吸うんが正しいいうことなんよ。
詳しく書くと次のようになるばいね。

(1)今肺にたまっちょるところの息ばしずかにゆっくりと吐く。
この時,十分意識してやることが大事ばいね。
(2)吐き終わったら自然に吸う。この時は反対に無意識でやるんよ。
意識して吸おう思うたらいけんのよ。
(3)吸うた息ばお腹のおおむねへその上あたり(気海,丹田ともいうばいね)に
ためる気持ちで息ば止める。
(4)苦しくない程度に止めたら,その息ばしずかにゆっくりと吐く。
この時,十分意識してやることが大事ばいね。

もう気づいたかしらん?(1)と(4)はおんなしばいね。
つまり(1)~(3)の繰り返しになるんよ。
これぞ「調身」「調息」「調心」の気功法最大の極意ばいね。

簡単に思うばってん,効果はてきめんなんよ。
しばらく気海に息ばためたら,頭がふらっとするような感覚があるんばい。
こん時,脳波は荒っぽいβ波からおだやかなα波に移行するんよ。
集中力・記憶力が高まるばいね。受験生にもお薦めなんよ。
おおむね自然治癒力も高まるばいね。

呼吸ばゆっくりするとよかことはもうひとつあるんよ。
ずばり寿命が延びるいうことやね。
生物の寿命いうんは呼吸の回数で決まるいう考え方があって,
おおむね正しい言われちょるんよ。
気功法ば生活の中に取り入れて,ゆっくり呼吸しよる人は
せん人よりも長く生きれるいうことばいね。

ちなみに職業別で見て一番長生きなんは,
教会の牧師さんとお寺のお坊さんらしかもんね。データは正直なんよ。
正しい呼吸ばしよる人が長生きいうんは数字でも示されちょるんよ。
宗教家はストレスがたまりにくいとか,
節制しちょるとかいうんも理由の一つとは思うばってんね。

気功法には,健康のための気功と武道のための気功の二つがあるんよ。
後者の代表が太極拳ばいね。
この後のおいどんの講座ばちゃんと読めば,
太極拳のあの動きの秘密もおのずから理解できるんよ。

おいどんが習ったんは,健康のための気功なんよ。
気功法のイメージはからだば動かすいうんがある思うばってん,
正しい呼吸法こそが大事なんであって,からだば動かすんは,絶対やないんよ。
極端に言えば好きに動かしていいんよ。また,自然と動きもするんよ。

中国では,早朝みんなで公園に集まって気功ばしよるばってん,
あれもおおむね自分の好きなスタイルでやりよる人が大部分なんよ。
それでいいんよ。
妙に型にこだわって,「調身」「調息」「調心」ば忘れたら本末転倒なんよ。
おいどんが師から受け継いだいちばん大事なことはそれなんよ。

この後,続きば書こう思うたばってん,
一気に次に行くよりもここでいっぺんとめて,
呼吸の練習ばしてもろうた方がよか思うよって,
今日はここまでにしちょくんよ。よかである。
おいどん,やっぱしばかかしらん?

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2004年11月30日 (火)

恒常性分野(1)血糖値調節

おいどん,人のからだほどおおむね神秘的なもんはない思うんよ。
人体は1つの宇宙言われるばってん,ほんとそうやね。
あの精巧に作られちょる細胞すら60兆もあるんよ。
その1個1個の細胞が
また途方もない数の分子や原子で出来ちょることば考えると気が遠くなる思いなんよ。
それらの原子・分子・細胞小器官・細胞が
きちんと役割ば果たしてくれるよって,おいどんたち生きちょれるんよね。
ありがたかばいね。

今回は『血糖値調節』と『免疫系のしくみ』ばとりあげるんよ。
超長文化すると読めん人が出るよって,
今回は2つ別々に載せることにするんばい。

まずは『血糖値調節』からいくんよ。
恒常性のしくみは自律神経とホルモンが
車の両輪のごとうまく協同作業ばしてうまくいっちょるんよ。
どっちか一方でも欠けたらだめなんばいね。
それはなぜかいうと,
自律神経は電気信号よって速いばってん持続性はないんばいね。
かたやホルモンは化学物質による信号よって遅い反面持続性があるんよ。
からだが変化に対応して調節する時,
この速度と持続性の両方がいるんばいね。
自律神経とホルモンはお互いがお互いを補い合うごと実にうまく作られちょるんばいね。
よかであ~る。

この自律神経とホルモンの協同作業の典型的な例が血糖値調節なんよ。
よって生物の全範囲の中でも一二ば争うぐらい昔から出題率が高いんばいね。
協同作業としては,血糖値調節の他に体温調節もあるんよ。
ばってん血糖値が理解できれば体温の方はおのずからわかるんよ。
それはなぜかいうと
血糖値ば上げる働きと体温ば上げる働きはおおむね同じしくみだかなんよ。
わかるかしらん?
血糖値ば説明し終わった時にもういっぺんここにはふれることにするんよ。

血糖値とはそもそも何かいうと,
血液100mlの中に含まれちょるグルコース(ブドウ糖)の量(mg)なんよ。
おおむね正常な値は100言われちょるんよ。
100mlいうたらコップ半分ぐらいばいね。そん中にたったの100mgなんよ。
100mgいうたら一円玉の重さ1gの1/10ばいね。
もっても重さば感じんぐらいのほんのちょこっとなんよ。
こげんとなめたって甘いとかわかるわけないんよ。
そのぐらいのレベルいうことなんばい。わかるかしらん?

水の密度は知っちょるばいね。おおむね1g/cm3ばい。
cm3とmlは単位系が違うだけで同じ量なんよ。
つまり水1mlは重さに直すとおおむね1gばいね。
これば100%とすると
血糖値の場合の100ml中100mgはm(ミリ)がついちょるだけの違いになるばいね。
mは1/1000よって,血糖値100いうんは%に直すとおおむね0.1%になるんよ。
わかるかしらん?
血糖値としては100mg/100mlと0.1%の両方ば知っちょくとよかばいね。

この血糖値ばいつもはかっちょるんはどこかいうと間脳の視床下部なんよ。
この視床下部いうんは親指に毛が生えた程度の小さかとこばってん,
おおむね極めて重要な場所なんばいね。
まさに生命中枢のそのまた中核いう場所なんよ。絶対おぼえておかないけんのど。
間脳視床下部が測定しちょる血糖値が100ば越えたり,
反対に下回ったりしたらすみやかに調節機能が作動するしくみなんばいね。

(1)血糖値>100の時
血糖値が上がりすぎるんは,問題ない思うかもしれんばってん,そうじゃないんよ。
血管ば痛めるばいね。特に細かい血管にダメージがあるんよ。
目の網膜はおおむね細かい血管の大集団力よって,
高血糖状態が長く続くと網膜ば痛めて失明することもあるんばいね。
よって,上がりすぎた血糖値ば下げるいうんは急ば要するんよ。
こういう時はおおむね自律神経の出番ばいね。
間脳視床下部から自律神経のうち副交感神経,
特にこの場合延髄から出るところの迷走神経に命令が行くばいね。

迷走神経は全身の内臓各所に届いちょるんで,当然すい臓にも働くんよ。
アセチルコリンが分泌されるばいね。
すい臓は言わずとしれた消化酵素の宝庫なんど。
ざっとあげてもアミラーゼ,トリプシン,リパーゼといった酵素が
ここで作られちょって十二指腸に送られるんばい。
すなわちすい臓は外分泌の器官いうことなんよ。
この外分泌の働きばするすい臓に
内分泌の働きばする細胞群が点在することば
ランゲルハンスいうお医者さんが発見したんよ。
そしてこればランゲルハンス島いうて名付けたんばいね。

このランゲルハンス島にはA細胞とB細胞があるんよ。
今回迷走神経の命令でホルモンば分泌するんはB細胞の方なんよ。
このホルモンこそ有名なインスリンばいね。
ちなみにラテン語で島のことばinsla(インスラ)いうよってそこからついた名前なんよ。
発音はインシュリンよりもインスリンの方がよかばいね。
このインスリンが血液中に出されると,
肝臓でグルコースばくっつけてグリコーゲン
(デンプン・セルロースと並んでグルコースで作られちょる多糖類の代表やね)ば
合成したり,呼吸が活発になってグルコースが
二酸化炭素と水に分解されたりするんよ。
血糖値ば下げるしくみはこれが始めで終わりなんよ。もうないんばいね。
これはどうしてかいうのをおいどん的に考察すると,
人類は今んとこ400万年ぐらいの歴史がある言われちょるばってん,
ご飯が好きなだけ食えたり,
ましてや甘いもんば食うたりなんて時代はかつてなかったんよ。
人類(他の動物も)はおおむね飢えちょったばいね。
よって,血糖値ば下げるのは万一上がりすぎた場合の
備えとしての役割しか与えられちょらんのよ。
これが現代人にとっては大いなる弱点となるばいね。
ホルモンば作る場所がすい臓だけよって,
すい臓にトラブルがあるといけんし,
そうやなくても食べ過ぎや自律神経の不調でも高血糖になるばいね。
結果,本来検査レベルでは出らんはずの尿にまで
グルコースが排出されるようになるんよ。これがいわゆる糖尿病やね。
おいどんの親父さんも糖尿病の気があって入退院ば繰り返したんよ。
今は幾分よかごとあるばってんね。

(1)血糖値<100の時
血糖値が下がるとおおむね脳に影響が出るんよ。
どうしてかいうと脳はグルコースば唯一の栄養分としちょるからなんよ。
血液中のグルコースが少なくなるいうと
へたしたら昏睡状態に陥ってそのまま死むこともあるんばいね。
よってこれまた急を要するんよ。自律神経の出番ばいね。
今度は間脳視床下部から交感神経に命令がいくんよ。
交感神経は脊髄のうち特に胸髄と腰髄から出ちょることも知っておきたいばいね。
その後,交感神経幹もしくは交感神経節いわれる神経の大集団力に束ねられて
全身に分布しちょるんよ。当然副腎やすい臓にも届くばいね。

副腎は腎臓の上にくっついちょる器官で外
側の皮質と内側の髄質に分かれちょるんよ。
それぞれホルモンが作られるんばいね。
ここではまず交感神経からノルアドレナリンが副腎髄質に分泌されるんよ。
そしたらこちらも有名なアドレナリンが副腎髄質から出されて血液中に入るばいね。
アドレナリンが血液中に入ると,
肝臓に貯えられちょったグリコーゲンば分解してグルコースば作るんよ。
このグルコースが血液中に補給されるよって血糖値が100に戻るいうことばいね。
血糖値ば上げる方は人類(他の動物も)にとっておおむね重要よって,
これで終わりじゃないんよ。
交感神経はすい臓のランゲルハンス島にも働きかけて
A細胞からグルカゴンの分泌ば促すんよ。
グルカゴンの働きはアドレナリンと全く同じなんよ。
さらに間脳の視床下部は持続的に血糖値ば増やすために
ホルモンの系統ば作動させるんよ。
視床下部の下にある脳下垂体いうんはおおむね最も大切な内分泌器官なんよ。
前葉,中葉,後葉に分かれちょってそれぞれホルモンば分泌するばいね。
ここで登場するんは前葉なんよ。
前葉は視床下部からのびた神経分泌細胞によって
放出ホルモンば受けることでホルモンば出すんよ。

前葉から出るホルモンはおおむね2種類ばい。
成長ホルモンと各種刺激ホルモンなんよ。
成長ホルモンは骨端の細胞分裂ば高めることで
身長ば伸ばす働きがあるんよ。この時に血糖値の上昇にも働くんど。
さらに各種刺激ホルモンの1つ副腎皮質刺激ホルモンも忘れちゃならんばいね。
名前の通りこのホルモンが血液中に出されると
血管ば流れて副腎皮質にたどりつきホルモンば出させるんよ。
ここで関係するんは糖質コルチコイドいうばいね。
糖質いうんは糖の代謝に関係するいう意味なんよ。
コルチコイドはいわゆるステロイドばい。原料はコレステロールなんよ。
コレステロールには高比重リポタンパクと低比重リポタンパクがあって,
前者を善玉,後者を悪玉いうばってん,
ホルモンの原料としてはどっちも大切なんよ。
悪玉よっていらんいうんじゃないんよ。
ちなみにおいどん,毎年春にある血液検査はほぼ完璧なんばってん,
たまにコレステロールが少なすぎるいう結果が出るんよ。
少なくてもいけんのよね。体が弱るんばい。
おいどん,そげん結果が出た時は意識して豚足ば食うようにしちょるんよ。
豚足はコラーゲンも豊富で体によかばいね。

いけん,また脱線した。元に戻るばいね。
糖質コルチコイドはタンパク質や脂肪ば分解して
グルコースに作り替える働きがあるんよ。
よって,これも血糖値上昇に一役買うばいね。
その他甲状腺から出されるところのチロキシンも
働きは全身における代謝(特に呼吸)の促進ばってん,
その過程で血糖値ば高めるんよ。
チロキシンは人間ではこの働きしかせんばってん,
カエルさんのような両生類では幼生から成体への変化,
いわゆる変態の促進いう働きもあるんよ。
これも案外テストに出されるよって要注意なんよ。よかかしらん?

最後に体温調節にふれておくんよ。
はじめに書いたごと体温調節はほとんど血糖値ば上げる働きと重なり合うんよ。
人類(他の動物も)にとってより深刻やったんは寒い方ばいね。
暑い方の調節は汗ばひたすらかくぐらいしかないんよ。
これも自律神経としては交感神経の働きなんばいね。
寒い方も交感神経なんよ。この辺はおもしろかとこばいね。

寒いときの調節は次の2つなんよ。

(1)体温ば保持する働き
今もっちょる体温ば逃がさんように,
交感神経のノルアドレナリンと副腎髄質のアドレナリンが働くんよ。
具体的には血管が収縮するばいね。
ただでさえ細かい毛細血管が縮むともう血が通わんのよ。
一番外気に触れて血液の温度ば下げる箇所の血管ば縮めることで
そこに血が行かんようにするんばい。ほっぺたとか指先とかがそうやね。
寒い時,ほっぺや指先の感覚がなくなってくるばいね。
あれは血が通わんからなんよ。わかるかしらん?
もうひとつ体温ば逃がさんために毛穴ば縮めるんよ。
毛にくっついちょる立毛筋いう筋肉がピクッと縮んで毛が立つんよ。
結果毛穴が縮んで皮膚が盛り上がるばいね。
これがいわゆる鳥肌なんよ。よかかしらん?

(2)体温ば高める働き
体温ば高めるのに最も大きな役割ばするんは手足の筋肉(骨格筋)なんよ。
寒い時は交感神経の働きで手足の筋肉がぶるぶる震えるばいね。
これが熱を生むんよ。
ほんとに寒い時は歯までがちがち鳴るばいね。これも自然の摂理ばい。よかである。
次に肝臓で物質ば壊す働きがあるんよ。これも熱ば生むばいね。
さらに交感神経は,消化以外すべてにプラスに働くよって
心臓の鼓動も速くするばいね。心臓もおおむね重要な熱の発生源になるんよ。
最後に血管なんよ。さっき細かい血管が縮むと血が通わんって書いたばってん,
大動脈みたいな太い血管やと話が別なんよ。
掃除の時,水ば出したホースばつまむと勢いが良くなるばいね。
そげな理屈でこっちの方はむしろ血の流れが良くなり,熱ば生むんよ。
全く同じ交感神経の働きで一方は体温を保持し,一方は高めるばいね。
生き物のしくみにはこういう例がいっぱいあるんよ。偉大な叡智ばいね。
人間の浅はかな知恵では到底及びもつかんぐらい
自然の偉大さはすごいとおいどん常々思うんよ。
そういう自然への畏敬の念が
おいどんのライフスタイルすべてに色濃く出ちょるんよ。
おいどんやっぱしばかかしらん?

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2004年11月28日 (日)

動物の行動分野

おいどん,昨日送別会から帰る時最寄の駅から
家の近くまでの最終バスに何とか乗れたんよ。
バス停で待っちょる時に
一人の若い女性の方が
教え子さんによくあるリアクションをしながら話しかけてきたんよ。
おおむね前の学校の教え子かしらん?思うたら
そうやなくてもうひとつ前の学校の教え子さんやったんよ。
しかも同じ教師の仕事ばすぐ近くの中学校でしよるらしか。

不思議なもんばいね。前の学校におる間こんなことはなかったんよ。
それが再びそっちの方の学校に移ったとたん会うけんね。
縁とはおおむね異なもの味なものいうばってんほんとやね思うたんよ。

さて,筋肉ばいね。筋肉を作っちょるんはいわずと知れたタンパク質なんよ。
普通タンパク質いうたらこっちを連想することが多いばってん,
もうひとつ酵素タンパクも忘れちゃいけんのよ。
筋肉ば作るタンパク質はアクトミオシンと呼ばれちょるんよ。
このタンパク質は最初筋肉の中から発見されたんばってん,
後に生物界のいたるところに見られるありふれたタンパク質いうこともわかったんよ。
細胞の中で形ば整えちょる細胞骨格もこのタンパク質で作られちょるんよ。

アクトミオシンは,さらにアクチンとミオシンいう
2種類のタンパク質から成っちょるんよ。
ミオシンはさらにトロポミンとトロポミオシンいう
2つの部品からできちょるんばってん,
これはもう高校のレベルば超える話なんよ。
受験の準備としてはアクチンとミオシンの関係ばおぼえるぐらいでよかよ。

さてさてこの2つのタンパク質が
どげん風にからんどるかいうとこが大事なんばい。
これば解明したのはハックスリーいう人なんよ。
彼の考え方ば『すべり説』いうんばいね。
それでは順を追って説明するばい。

(1)筋肉に張り付いた運動神経の末端
(この筋肉の部分ば終板いうんよ。おぼえておくとよかよ)から
神経伝達物質であるところの
アセチルコリン(運動すると“汗が散る”でおぼえるとよかね~)が出るんよ。
(2)アセチルコリンの刺激ば受けた筋肉に膜電位が生じるんよ。
(3)それが引き金となるよって,
筋肉の細胞(筋繊維)の中の筋原繊維ば包む筋小胞体から
Ca2+(カルシウムイオン)が出るんばい。
(4)このCa2+の放射ば受けたミオシンが
ATPのエネルギーばつこうてアクチンばたぐり寄せるんよ。
この様子ば顕微鏡で観察すると
明るく見えよった箇所(明帯:アクチンのみの場所)が短こうなるんよ。
暗く見える箇所(暗帯:ミオシンの存在する場所)の長さは変わらんのよ
(“暗帯は安泰”って,おぼえるとよか)。
(5)収縮の必要がなくなったらCa2+が再び筋小胞体に戻っていくんよ。
アクチンばひっかけたミオシンの力が弱まりアクチンは元の位置に戻るばいね。
わかったかしらん?
図なしで理解するのはつらいんで
一緒に図録とかば見るとよかばいね。

少し補足ばするんよ。おいどんやっぱし親切やね。よかであ~る。

補足1 筋肉の構造について
筋肉の構成単位はさっき書いた筋原繊維ばい。
これは細胞(筋繊維)よりも細かい単位なんよ。
通常生物の体ば構成する最小単位は細胞よって,
これは珍しいケース言えるばいね。
ちなみに手足の筋肉,骨格筋は横紋筋の仲間なんばってん
細胞が大集団力となった状態よって多核細胞なんばい。
これは組織の単元でも試験に出ることがあるよって要注意なんよ。
通常細胞に核1個いうんは常識ばいね。
こういう例外的なんはそれだけ狙われやすいんよ。
ちなみに肝臓の肝細胞は核が2個あるんよ。
肝臓だけは驚異の再生能力をもつよって
おおむねそのために1個余分にあるいう風に考えられちょるばいね。
これも写真問題なんかで出ることがあるんよ。よかかしらん?

いけん,また脱線した。脱線はおいどんのくせでもあるばってん,
あんまししすぎるのは良くないばいね。焦点がぼやけるもんね。
筋肉の話に戻るんよ。
筋原繊維はさっき書いたごとアクチンとミオシンで出来ちょるんばってん,
Z膜いうんで区切られちょって,
Z膜からZ膜までを筋節
(サルコメア:おサルの米屋さん?
おいどんおサルのかごやさんなら知っちょるばってんね?はて?)というんよ。
この筋節こそが収縮の際の単位になる考えてよかのよ。
当然収縮の前後で筋節の長さが変わるんよ。わかるかしらん?

補足2 筋肉のエネルギーについて
次にエネルギーの面ば補足するんよ。
さっきATPのエネルギーでミオシンがアクチンば
たぐり寄せる書いたんばってん,
「酵素・呼吸」の講座でもふれたごと体ん中にあるATPの量は限られちょるんよ。
筋肉で激しい運動ばするのに
ATPではとてもまかない切れんいうのが実際のとこなんよ。
ではどげんしちょるかいうと,
普段運動ばせんで安静にしちょる時は
ATPが余っちょるいうんはわかるばいね。
このATPばADPに分解してできるリン酸1個ば
クレアチンいう物質にくっつけてクレアチンリン酸にするんよ。
いざ筋肉ば収縮させるいう時には
このクレアチンリン酸ばクレアチンに分解して
できるリン酸ばADPにくっつけてATPば作りだすんよ。わかるかしらん?
たとえて書けば,あんまし買いもんやらせんで
家のお金が余った月は銀行に預けるばいね。
逆に足りんごとなったら銀行からお金ばおろして家計ば助けるんよ。
家計ばATPとするならクレアチンリン酸が銀行いう感じばい。
これならわかるかしらん?
腎臓の働きでもっとも濃縮率が高い物質として登場するクレアチニンは
さっき書いたクレアチンの代謝物なんよ。
おおむね濃縮率が150ぐらいあるばいね。
濃縮率が高いいうことは体にとっていらんいうことよって,
クレアチニンは毒いうことばいね。
これが血液の中にいつまでも残っちょるといけんので尿に捨てるんど。
以前尿療法いうんがはやって,
ちびまるこちゃんの作者のさくらももこさんなんかもやっちょるらしかばってん,
おいどん尿療法には反対なんよ。
体にとってようやっと苦労して捨てた毒がまた戻ってくるいうんは
おおむね負担になるばいね。長い目で見たら決してよくない思うんよ。

補足3 筋収縮の実験について
筋収縮ば調べる時は,おおむねカエルさんば使うばいね。
それもアマガエルのような小さいんやなくて
トノサマガエルとかウシガエルとかなんよ。
トノサマガエルはおいどんが幼少のみぎりどこでもここでも見られたもんばってん,
今はもうおらんのよ。
見かけると大ニュースになるぐらい自然界から姿ば消したらしかばいね。
寂しかことばい。
おいどんの生まれ故郷は福岡市のはずれなんよ。
まわり田んぼばっかしで
夜はカエルさんの鳴き声と
少し離れた家に飼われたウシさんの鳴き声が聞こえるばかりの静寂ぶりなんよ。
よかであ~る。
おいどん,そげん環境で生まれ育ったよって,
生き物が大好きなんよ。
コンピュータばっかしが好き思われるのは大いに心外なんよ。
必要に迫られたよってコンピュータを
人並みに使いこなせるんは確かばってん,
本当は野山が好きなんばい。
山のてっぺんの広場か何かに大の字になって横たわりたかばいね。
空の青さと大地の暖かさばからだ中で感じる瞬間よかばいね。

いけん,また大脱線ばしたばいね。
カエルさんの反射の様子ば調べるために脳ば取って,
いわゆる脊髄ガエルいうんにするばいね。
う~。残酷ばい。おいどん研修で実際にするところば見たことはあるばってん,
自分ではしとうなかばい。
足ば電気や化学物質で刺激すると脳はないのに,足がピクッて動くんよ。
これすなわち反射ばいね。
反射とは大脳以外を中枢とする行動をいうんよ。よかかしらん?

今回は筋収縮ば調べるわけなんで脊髄ガエルはいらんのよ。
足のふくらはぎの部分の筋肉,これば腓腹筋(ひふくきん)いうんよ。
この腓腹筋についちょる神経ば1本を残して全部取るんよ。
この作業は結構たいへんなんよ。
1本だけいうんが簡単そうで難しいんよ。
さてこうして出来上がったもんば『神経筋標本』いうんよ。
おぼえておきたいばいね。
これば装置につなげるんばってん,装置には2種類あるんよ。
回転スピードが速い方と遅い方なんばい。
速い方の装置ばミオグラフ,遅い方ばキモグラフいうんよ。

まずはミオグラフの方から説明するんよ。
神経筋標本の腱の部分に針ばつけて
すすをぬった紙(すす紙)ば巻いた回転ドラムに当てるんよ。
そしておもむろに神経ば1回刺激すると筋肉がピクッって収縮するばいね。
その際の針の動きがすす紙の上に記録されるしくみなんよ。
結果的に1回収縮したんがしっかりと残るわけなんよ。
これば『れん縮曲線』いうんよ。
このグラフには3つの段階が記録されるんよ。
(1)潜伏期:刺激はしたばってん,まだ筋肉まで伝わっちょらん時期,
主にシナプスにおける神経伝達に要する時間。
(2)収縮期:ミオシンがアクチンばたぐり寄せて筋節が短くなる時間。
(3)弛緩期:アクチンが元に戻って筋節の長さも戻る時間。
よかかしらん?特に(1)の潜伏期は
何に使われる時間かいうんはよく尋ねられるんで要注意なんよ。
計算問題が出ることもあるんよ。
その時は2つの場所の時間と距離の差から
神経の伝導速度を求めることがポイントばい。

つづいてキモグラフの説明にいくんよ。
ドラムの回転が遅いだけでしくみそのものはミオグラフと同じなんよ。
ゆっくりまわるよって,
1回の収縮が針のように細く描かれるところがミオグラフと違うんよ。
ちょうどビデオば録画するときの標準モードと3倍モードの差みたいなもんばい。
3倍モードはゆっくり回るよって3倍の時間録画できるばってん,
画質が落ちることは知っちょるよね。おんなじ理屈ばい。

キモグラフのよかとこは複数回の収縮が記録できることなんよ。
刺激が1回の場合は『れん縮(単収縮)』,
刺激が断続的に続く場合は『不完全強縮』,
そして刺激が連続的に続く場合は『完全強縮(強縮)』いうんよ。
おいどんたちが通常する運動はおおむね完全強縮(強縮)によるんばい。
これもよくテストに出題されるんよ。要注意ばいね。

この不完全強縮と完全強縮(強縮)がわかりにくいばいね。
またまたたとえば使って説明してみるんよ。
皮膚の感覚で一番強いのは痛みに対するもんやね。
この役割ばする部分ば痛点いうんよ。
ちなみに皮膚の感覚点としては他に圧点,冷点それに温点の合計4つがあるんよ。
圧点はマイスネル小体,メルケル小体,パチーニ小体,
冷点はクラウゼ小体,
温点はルフィニ小体と
それぞれ呼ばれるところの
(おおむね発見者の名前やね,みんな自分の名前つけるの好きやね)
感覚細胞によってできちょるんばってん,
痛点だけは神経終末がダイレクトにきちょるんよ。
細胞のクッションが入らんいうことなんよ。
痛みが強烈な感覚になるのはそのためやね。

この痛点が連続的に刺激されると
当然おいどんたちは“痛み”と感じるんばいね。
さてそれでは,痛点が断続的に刺激されるとどう感じるかしらん?
これが実は“かゆみ”なんばい。
蚊にさされたりしたら,そこばかきむしるのは
無意識のうちに断続的な刺激であるところのかゆみば,
連続的な刺激による痛みに変えてかゆさからのがれようとしちょるんばいね。
わかったかしらん?

ちなみに蚊にさされて赤くなったり,
かゆくなったりするんは立派なアレルギーなんよ。
アレルギーがない人はおらんのよ。
反応が強かか弱かかの差だけなんばいね。
おいどんも典型的なアレルギー体質よって,
毎日カスピ海ヨーグルトば食い,
ブルガリアの飲むヨーグルトば飲んで腸からの体質改善ばはかっちょるんよ。
よかであ~る。
おいどんたちが運動する時は
痛みのように連続的に刺激がこんとだめいうことやね。
断続的刺激はかゆみのように中途半端でようないいうことばい。
わかったかしらん?

何とかアイデアだけは温めちょった「動物の行動」ば書き終えることができて,
おいどんほっとしちょるんよ。
みんながこれば読んでどこか一箇所でも「!」があると嬉しかばいね。
おいどんやっぱしばかかしらん?

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2004年11月21日 (日)

光合成・窒素同化分野

おいどん,昨日の金曜日が研究会で
その後懇親会で大いに飲んだど。
他校の教師仲間や大学の先生といろいろ語り合ったばいね。
さすがにその後はお風呂に入るが精一杯で
生物講座は書ききらんやったんよ。
今日はよしやるどの信念で久しぶりに書くのど。
おいどん,勇気りんりんどどめ色で,血は沸き肉は踊っちょるんよ。よかである。

さて,光合成なんど。
光合成にはおいどんの大いなる夢が秘められちょるんよ。
それは人工光合成いうことなんよ。
前回書いた水素エネルギーとも関係があるばいね。
今現在おいどんたち人類がかかえちょる問題の多くは
人工光合成によって解決するんよ。
人工光合成のすごかところは,大きく4つあるんよ。
(1)現在地球温暖化の原因として問題になっちょる二酸化炭素ば
合理的に減らしてくれるいうこと
(2)光エネルギーをもとにクリーンで
かつおおむね無限の可能性を秘めた水素エネルギーに作り出せること
(3)今なお地球上の多くの国におる飢餓にあえぐ人たちの食料を作り出せること
(4)将来森林減少によって地球上の酸素が不足した際に,
それを補うことができること
おいどん,地元出身のミュージシャン財津和夫さん
(チューリップの人。おいどんの奥さんと同じ大学の出身なんよ。
おいどん自身は同じ系列の中学校の出身でもあるんよ)
の“I need you and you”いう曲が大好きなんよ。
おおむね7分ぐらいある長い曲なんばってん,
その歌詞がすごくいいんよ。その中にこんな一節があるんよ。
♪太陽があり 空気があり 植物がいて ぼくらがいる
 なんて素晴らしい友情だろう なんて簡単な友情だろう
 簡単だから ぼくらはそれを壊した この友情を裏切った
 この友情を取り戻さなきゃ この友情を取り戻さなきゃ
 (以下ずっと続く・・・・・)♪

そうなんよ。おいどんたち動物と植物さんとの間に結ばれちょるこの友情ほど
大切なものはない,とおいどんも思うんばいね。
前回の呼吸の最後で
危険な水素原子ば処理するために必要って書いた酸素も
植物あってのことやもんね。
今,地球の森林はどんどん減っちょるんよ。
以前はジャングルとして偉容をたたえた
アフリカもアマゾンもそして東南アジアも
伐採や焼き畑農業でおおむねなくなってしまいよるんよ。
怖いことばいね。
地球の酸素の最後の砦はシベリアの大森林なんよ。
これがもし同じように失われたらおいどんたちは
酸素が吸えなくなるかもしれんのよ。おしまいばいね。
そうなる前に人工光合成の技術が確立すればよかばってんね。

前置きが長くなったばい。
それでは,光合成のしくみば順に説明していくんよ。
舞台は植物細胞特有に見られる色素体の一つ葉緑体なんよ。
ちなみに色素体にはほかに有色体と白色体があるんよ。
有色体は緑色以外の部分にあるんよ。
ナスの紫色なんかそうやね。
白色体はデンプンの固まりのものと,
光が当たると葉緑体に変わるものとの両方があるんよ。
ダイコンの根は日向に置いちょくと緑色になってくるんよね。
これが白色体なんよ。

葉緑体で光合成ばするんばってん,
光ば必要とする反応としない反応でさらに内部の場所が違うんよ。
(1)光ば必要とする反応  葉緑体のチラコイド
(2)光ば必要としない反応 葉緑体のストロマ
それでは,(1)から順にいくんよ。まず太陽の光エネルギーの話からなんよ。
光は色の反対にたくさんの種類が集まればどんどん白くなるんよ。
太陽は肉眼では白には見えんばってん,光線そのものの色は白なんばいね。
ばってん,こればプリズムで分光したら7色出てくるんばいね。
波長が短い方から並べて,紫・青・水色・緑・黄・橙・赤ばい。
いわゆる虹の七色やね。
おいどん授業の時いつも7色のチョークば持ち歩くんよ。
いつでも太陽光線の説明ができるように準備しちょるんよ。
この光が植物の葉に吸収されるんばってん,
どの色も同じいうんじゃないんよ。
このことはエンゲルマンいう人が
らせん状の葉緑体ばもつアオミドロをつこうた研究で見つけたんよ。
葉緑体中の同化色素のうち最重要なんはクロロフィルaなんよ。
エンゲルマンはプリズムで分けた光ば当てて,
クロロフィルaにどの色が当たったときに
一番酸素ば発生するか調べたんよ。
その結果わかったんは,
7つの色の並びのうちおおむね両端にあたるところの青(紫)と赤やったんよ。
この2つの色こそが植物にとって最も大切いうわけなんばいね。
それでは残りの色はいらんのかいうとそうではないんばいね。
青と紫と赤以外の残り4色のうち,
水色と黄色それに橙色の3色は
クロロフィルa以外の同化色素であるところの
クロロフィルbやカロチノイド(おおむねカロテンとキサントフィル)に
吸収されるいうことがわかったんよ。
最後に残った緑色は?と当然考えるばいね。
実は緑だけはほとんど全く使われんのよ。
植物は緑はいらんいうてはね返すんよ。
勘のいい人はもうわかったばいね。そうなんよ。
植物がおおむね緑色なんはいらん光よって反射するからなんよ。
おいどんたちの目は光以外のものは見えんのよ。
しかも吸い込まれた光は入ってこんよって,
唯一反射した光だけが見えるんよ。
つまりおいどんたちが日頃目にしているのは
その物体がいらんいうて跳ね返した光いうことなんよ。
その物体そのものを見ることは絶対できんのよ。
この事実はとても重要なんばい。
なぜなら世界は目で見えるものばかりじゃないいうことを
科学的に示しちょるからなんよ。
普通“目に見えん世界”いうたら
宗教とか精神世界のジャンルで使われるんばってんね。
ヨーロッパで始まったニューサイエンス運動の旗手である
ボームいう人はこれを暗在系呼んどるんよ。
それに対し,目に見える世界は明在系いうんよ。
日本で昔から使われちょる言葉で言えば,
あの世とこの世いうことになるばいね。

いけん,脱線したばい。
クロロフィルaは,青や赤の光ば吸収したら
活性クロロフィル呼ばれる非常にエネルギーレベルの高い物質に変化するんよ。
一方クロロフィルbやカロテノイドに吸収された残りの色の光は
そのエネルギーばクロロフィルaに渡すよって,
結局おおむね全部のエネルギーが
活性クロロフィルば作るのに使われることになるばいね。
こうして活性化したクロロフィルはやがて元に戻るばいね。
ちょうど高いところにある水が滝のように流れ落ちるがごとくばいね。
当然落差があるんよ。この落差が2つのことば成し遂げるばいね。
(a)水の分解による水素原子の生成
(b)ADPのリン酸化によるATPの生成

(a)に関しては中学校でよく水の電気分解ばやるばいね。
あれは電気の力で水分子ば分解して水素分子と酸素分子にするんよ。
光も電気と同じエネルギーよって,水を分解することが可能なんよ。
よかばいね。
ばってん,できる水素が分子やなくて原子であることに注意が必要なんよ。
具体的には脱水素酵素の補酵素の一つである
NADP(Nicotine Amido Adenine Dinucleotide Phosphate
ニコチンアミド アデニン ジヌクレオチド リン酸の略なんよ。
読み上げるな。舌かむど~)
に結合してNADPH2いう形になるんよ。
この形の水素原子が(2)の光ば必要としない反応に使われるんばいね。

(b)は前回の酵素・呼吸の回に説明したよって大丈夫ばいね。
活性クロロフィルがもっちょったエネルギーが
ATPの形に作り変えられるいうことばい。よかである。
これも(2)の方で使われるんよ。

これでようやく(2)の方にいけるんよ。
まず植物は葉の裏側に多い気孔から二酸化炭素ば吸収するんよ。
植物自身も生きちょる限り呼吸ばしよるよって
二酸化炭素ば吐きよるし,
おいどんたち動物や菌類それに微生物もみんな吐きよるんばいね。
それば吸収するわけど。
おいどんたちにとっていらんもんであるところの二酸化炭素ば
植物さんは喜んでもろうてくれちょるわけやね。
財津和夫さんはこのことば友情呼んだわけなんよ。
よかであ~る。

この二酸化炭素がストロマに元からある
リブロース二リン酸(C5) とくっつくんよ。
二酸化炭素は(C1)よって合計(C6)になるばいね。
この(C6)は瞬間あるかもしれんばってん,事実上存在せんのよ。
すぐに分解して(C3)2個になるんよ。
これをリングリセリン酸(もしくはグリセリン酸リン酸)いうんよ。
例によって頭文字ばとって専門書ではPGAいう風に書かれることが多いんよ。
このリングリセリン酸(C3)に(1)でできたNADPH2とATPが順に反応するんよ。
結果,水素原子とATPによって持ち込まれたリン酸分子が加わる形になるんよ。
こうしてできる物質を果糖二リン酸(C6)いうんよ。
正確に言うと微妙に違うばってん,
この果糖二リン酸がはじめのリブロース二リン酸(C5)になる時に
入り込んだ二酸化炭素と水素によってできたCH2Oが抜けるんよ。
これば炭水化物いうんよ。
この名前はC H2Oみたいに分けて考えるとすぐに納得できるんど。
前はC炭素やね。そして後ろはH2Oいうまでもなく水なんよ。
したがって,水とくっついた炭素(炭素の水化物)いうことで
炭水化物いう名前になるわけなんばいね。わかったかしらん?
今説明したごとこの反応経路は
前回のクエン酸回路と同じように一周回る形になっちょるんよ。
それで発見した2人にちなんで『カルビン・ベンソン回路』いうんよ。
これが3番目の回路ばいね。
この名前はおぼえちょくとよかよ。

さて,できてきたCH2Oばってん,これ1つでは物質とは言えんのよ。
まだ部品の段階なんよ。
カルビン・ベンソン回路は最低6回転必要なんよ。
CH2Oの各原子の数ば6倍したらどうなるかしらん?
もうよかね。そうC6H12O6すなわちグルコース(ブドウ糖)になるばいね。
こうして植物は晴れてグルコースいう一番基本となる糖を作れたわけなんよ。
ちなみに糖は炭水化物と全く同じものなんよ。
昔は炭水化物言うちょったもんば今は糖いうようになったんばい。
ちょっとややこしかばいね。

光合成のしくみば長々と説明してきたばってん,
ばっちり理解できたかしらん?
自分の頭ん中に一つのストーリーの形で入るとよかね。
友だち同士説明し合ういうのもおおむね勉強になるいい方法なんよ。
人に説明したら自分が本当にわかっちょらん箇所でつまずくばいね。
そこをすぐに勉強し直せば正しく頭に入るんよ。
脳は気になるもんほどおぼえようとするもんなんよ。
海馬の力ばいね。よかである。
例によって長文化したばってん,これでもまだまだ一部やもんね。
ここの分野は幅広いんよ
。光合成の条件についても勉強せないけんし,
細菌の光合成と化学合成もあるばいね。
代謝の総まとめとして窒素同化ばやるとよかよ。
学んできたものがつながって頭にはいるばい。
また次の機会があったら今回漏れた分についても書くことにするんよ。

おいどん,授業のない生活ば3週間も送ちょるんで
少々禁断症状気味なんよ。
これば書いちょると生徒さんば前にして授業ばしよるような気持ちになれるもんね。
よかである。
ほんの一言でよかけん,読んだ人はコメントくれると嬉しいんよ。
「こげんことは知らんかった」とか
「ここがわかりにくかった」とか書いてくれるとありがたいばいね。
おいどんやっぱしばかかしらん?

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2004年11月16日 (火)

酵素・呼吸分野

おいどん,今日は文化祭の代休で休みやったんよ。
前の学校の事務室に印鑑ばもっていかないけんかったんで
午前中着いて印鑑渡してみると,
ちょうどパソコンの調子が悪くて困っている場所があるとのこと。
それを見捨てるおいどんやないばいね。
すぐに駆けつけてwindowsが立ち上がらんごとなった
コンピュータのデータば抜けるようにしてやったばい。
お昼休みをはさんで午後までかかったばってんね。
最重要データの入ったコンピュータやったらしくものすご感謝されたんよ。

午後は近所の店に買い物に出たり,
お片づけばしたりして過ごしたばい。

お昼休みと放課後はなつかしか生徒さんたちと再会したばいね。
勉強ばみたり,相談に乗ったりばい。
たくさんの人に必要とされるいうんはありがたかね。
おいどんの生きちょる甲斐もあるいうことやね。

さて,今日は酵素・呼吸分野なんど。
ここで基礎になるんは,酵素とATPについての知識やね。
酵素についてはいうまでもなく,
タンパク質を主成分としてできちょって,
低分子の有機化合物である補酵素をもつ場合もあるんよ。
生物のからだは化学反応の場としては,
おおむね悪い条件よって,高性能な触媒である酵素なしにはなんもできんのよ。

生命を一つのシステムとするならば,
そのシステムを成り立たせる最重要なサブシステムが酵素いうことばいね。
生物学を学ぶ上で,
『生きちょること=酵素が働くこと』いう理解は大切ばい。
酵素の弱点は高温とpH変化なんよ。
タンパク質の立体構造こそが
酵素の働きの秘密いうことは知っちょるかしらん?
基質と酵素が鍵と鍵穴の関係(いわゆる『基質特異性』)で結ぶつくんは,
この立体構造あるからこそなんど。
基質と結合する場所ば活性部位いうて,ここが最重要ばいね。
高温とpH変化はこれば壊すんよ。
結果的に酵素の失活いうことになるばいね。

さっきの話おぼえちょるかしらん?
酵素の弱点いうことは,おいどんたち生き物の弱点でもあるんよ。
人間も高熱が長く続いたり,
強酸・強アルカリにさらされたりしたらおおむね死むど~。
酸性雨は植物を枯らすとしか思われちょらんばってん,
以前イギリスではおおぜいの人が死んだこともあるんど。
酸やアルカリも怖いんばいね。

もう一つの基礎であるATPについてもふれちょこう。
ATPはAdenosine Tri Phosphateの略ばいね。
日本語でも直訳でアデノシン三リン酸いうばいね。
これはいったい何かいうと,
大腸菌からヒトに至る地球上の生きとし生けるもんは,
みなこの物質ば体内でエネルギーのやり取りにつこうちょるんよ。
頭ん中で考えるんも,手足動かすんも,肝臓でいろいろつくるんも,
み~んなATPが必要なんよ。
あちこちでどんどんつこうたらおおむねすぐなくなるばいね。
実は体内にあるATPはものすご少ないんよ。
その少ない分ばうまく繰り返しつこうちょるんよ。

どげんするかいうと,
ATPよりもリン酸が1個少ないADPばあらかじめもっちょって,
これにリン酸1個ばつないでATPにするんばいね。
ATPばつくるいうても1から作るわけやないんよ。
ただリン酸1個ばつけるだけばい。
さっき書いたごとATPはからだ中でどんどん使うもんやから
すぐになくなり補充が必要ばいね。
これはつこうたら補充いうんじゃ間に合わんのよ。
同時にせないけんのよ。

さて,おいどんたちが生まれてから死ぬまで
片時も休まずしちょるこの補充とはすなわち何かしらん?
おいどんの授業を受けたことがある人は絶対答えきらんといけんど。
そうでない人も勘がよければもう答えはわかったばいね。
最初においどんがタイトルで書いちょるもんね。
そうそれこそが呼吸なんばい。
今おいどんたちが呼吸しよるのは一重にATPを作るためなんよ。
理解できたかしらん?

ではどうすればATPができるかいう具体的な話に入るばいね。
昨日が超長文やったけん,
今日は短めにしょう思うたんばってん,
やっぱし長くなるばいね。
しかたなかね。一番難しかとこやもんね。
ばってん,おいどん大学での専門は化学やからこの分野も得意なんよ。
自分が勉強するのに苦労したよって,
上手に教えることにも自信があるんよね。
おいどんの代謝講座わかりやすいと評判なんよ。
なーにか。よかである。

ATPはとどのつまり化学エネルギーなんど。
化学エネルギーとは化合物の結合部分にあるエネルギーなんよ。
おおむね共有結合の箇所やね。
ADPとリン酸がくっついた部分は
特に『高エネルギーリン酸結合』いうんよ。
おおむね1molあたり8~10kcalのエネルギーが生まれるんよ。よかである。
この結合ばつくるのもまた化学エネルギーなんよ。
呼吸で使われる物質は主に次の3つなんど。
(1)グルコース(ブドウ糖)
(2)タンパク質
(3)脂肪
このうち(3)の脂肪は
β酸化いう方法でどんどんATPを作るよって
いわゆるカロリーが高いいうことになるばいね。
ご飯ば食べ過ぎたら(よかね~。おいどんいつもひもじいど)←注:漫画の主人公の話です
一番有利な脂肪の形で蓄えるもんやけん,
世の人は肥満で悩んだりするんばいね。
運動で食べたもんば消費するが一番なんど。
変なダイエットは栄養が足らんごとなるよって,危ないんよ。
いけん,また例によって脱線しよるね。
この脱線ば好いちょるいう人もおるばってんね。元に戻るんよ。

呼吸で使われるいうことは,
それば食べるいうこととおおむね近いんばい。
さっきの3つは呼吸に必要な酸素とはき出す二酸化炭素の割合であるところの
呼吸商の値が違うんよ。
(1)グルコース1.0
(2)タンパク質0.8
(3)脂肪0.7になるばいね。
この数字はおぼえておくとよかよ~。

したがって,動物の吸う息と吐く息ば調べたら
食いもんがおおむねわかるばいね。
ウシさんのような草食動物は呼吸商が1.0に近かばい。
反対にネコさんのような肉食動物は0.7に近くなるんよ。
おいどんたちヒトやブタさんのような雑食動物は
まん中へん(0.85~0.9)ぐらいの数字になるいうわけなんよ。
おもしろかね~。

植物の場合も発芽ん時,
種の中の栄養ばつこうて呼吸するよって,
デンプン種子と脂肪種子で呼吸商が違うばいね。
案外これも問題に出ることがあるんよ。

さて(2)と(3)はおいちょって(1)のグルコースが呼吸に使われる場合に絞るんよ。
最初はパンば焼くのにお世話んなる酵母からいくんよ。
酵母の場合,グルコースばまずまっぷたつにするんに
大事なATPば2個使うんよ。
この時点ではマイナス2やね。
そしてピルビン酸ば2個作る時にそれぞれ2個ずつのATPばもらうんよ。
これでトータルプラス2ばい。これでもう終わりなんよ。
酸素がない条件では酵母はこれしかできんのよ。
たかが2個というな。貴重なんど。これで酵母は生きちょるんど。
よかである。

ピルビン酸いう物質は生活の中でなじみがなかね。
それもそのはずでものすご不安定なんよ。
すぐに他のものに変わっていくばいね。
酵母の体内ではまず二酸化炭素が抜けるんよ。
これがビールの泡の正体ばいね。
お酒ばつくる時,ビールに限らずかならず泡が出るんよ。
パンがふくらむのもこれやね。
おいどんいつもパンば買う時,二酸化炭素にいくら払っちょるんかしら?思うんよ。
小麦粉はちょこっとやもんね。
腹がふくれる感じがするのもおおむね中の二酸化炭素のせいやね。
あまりよくないである。
ばってん,おいどんも大学の時自分で焼いたばってん,
焼きたてのパンはうまかね。
ほんとにいい香りがしてなんともいえん味がするばいね。
こっちはよかであ~る。

いけんまた激しく脱線したばい。携帯で読む人にはつらかばいね。
いけんね~。
二酸化炭素が抜けた後,
ピルビン酸ができると同時にいったん抜けちょった
水素原子2個が入るばいね。
結果エチルアルコールが2個できるんばい。これが酒やね。
おいどん,あんまし酒は飲まんばってん養命酒は好いちょるんよ。
体調がすぐれん時はこれに限るね。
生薬の集団力の上にグルコースが溶けちょっていい塩梅ばい。
よかであ~る。
結果的に酵母はグルコース1個ばつこうて,
エチルアルコール2個ば作り,
同時に肝心のATPば2個作るいうことばいね。

続いて乳酸菌にいくばい。
これは何というてもヨーグルトやね。
おいどんヨーグルトも好いちょるんよ。
毎朝自家製のカスピ海ヨーグルトば食べて,
夜はブルガリアの飲むヨーグルトば飲むんよ。
この飲むヨーグルトおいどんの大学時代の友人が作っちょるんよ。
彼は自宅は東京にあるんばってん,
毎年ヨーロッパ各地ばまわって,よか菌ば探すらしか。
すごかね~。国際的に活躍しちょるよね。
おいどん田舎もんよって,
ちょっと東京行くだけでめがまわるのに偉い違いやね。

脱線はいけんいうのにまたしてしもうた。
このあと本命の好気呼吸があるのにいつ終わるんやろうかね?
不安になってきたばい。
乳酸菌もグルコースばATP2個つこうて分解するんよ。
こん時ピルビン酸が2個できてやっぱしATPがそれぞれ2個ずつできるんよ。
差し引き2個もらうわけなんよ。わかるかしらん?
ATP作りはこれで終わりで,
後はピルビン酸ができたときに抜けた水素原子2個が
もいっぺん入って乳酸になるばいね。
結果的に乳酸菌はグルコース1個ばつこうて,
乳酸2個ば作り,同時にATPば2個作るんよ。
おおむね酵母と同じようなもんばいね。

こげん風に酸素ば使わん呼吸ば嫌気呼吸いうんよ。
それに対しておいどんたちが日頃しよる呼吸は好気呼吸になるんばいね。
今度はこっちのしくみにいくんよ。
好気呼吸は複雑よって,段階ごとにまとめるんよ。
(1)解糖系    場所:細胞質基質
(2)クエン酸回路 場所:ミトコンドリア(マトリックス)
(3)水素伝達系  場所:ミトコンドリア(クリステ)
(1)解糖系から順にいくんよ。
まずグルコース1個ばATP2個ばつこうて分解し,
ピルビン酸2個ばつくるんよ。
こん時ATPがそれぞれ2個ずつできて
ピルビン酸ができると同時に
水素原子が2個ずつ飛び出るんよ。
(1)の目的は何かいうと,これはもう反応性抜群の
ピルビン酸ばつくるいうことで理解するがよかね。
ちなみにグルコースは炭素6個の物質やけん,
それを半分分けしたピルビン酸は炭素3個なんよ。
以後(C3)いう風に書くんよ。わかるかしらん?

つづいて(2)クエン酸回路なんよ。
(1)でできたピルビン酸(C3)から
まず二酸化炭素(C1)1個と水素原子2個が取れるんよ。
こうしてできた形をアセチルCo-Aいうんばってん,
高校レベルではこの言葉はあえて使わんで活性酢酸(C2)と呼んどるんよ。
これでおぼえてよかばい。
この活性酢酸がミトコンドリアの内部に入るんよ。
もとからミトコンドリアにあったオキサロ酢酸(C4)とくっつくんよ。
結果クエン酸(C6)ができるばいね。
最近またクエン酸に注目が集まっちょるみたいやね。
体にいいのは昔から言われちょったばってんね。
味もおいしかもんね。よかである。
クエンはカタカナで書くばってん,
立派な日本語いうのは知っちょったかな?
漢字では枸櫞酸と書くんよ。
むずかしいよってにカタカナにしたかね?
おいどんその経緯はよう知らんのよ。
英語ではCitric Acidいう名前がちゃんとあるもんね。
おいどんの授業トリビアの宝庫ってよく言われるんよ。
クエン酸を作るカビのことは知ちょっるかな?
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)いう黒っぽいカビがそうなんよ。
アスペルギルスいうんはいわゆるコウジカビの仲間なんよ。
カビがおいどんたちに必要な栄養も作ってくれるんど。
何か感動的ばいね。ありがたかね。よかであ~る。

こう脱線ばっかしやったら頭に入るもんも入らんね。
もうやけくそばい。おいどん勇気りんりんどどめ色なんど。
よしいくどの信念で一気にいくど~。
クエン酸から二酸化炭素1個と水素原子2個がとれて
ケトグルタル酸(C5)になるんど。
二酸化炭素と水素原子が取れる時に
それぞれ酵素が,脱炭酸酵素(デカルボキシラーゼ)と
脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)なんど。
この名前もおぼえておくとよかね。
さらにケトグルタル酸から二酸化炭素と水素原子2個が取れて
コハク酸(C4)になるんど。
これまで3箇所で二酸化炭素が取れたばってん,
これがおいどんたちが口から吐き出しよる二酸化炭素いうことばいね。
代謝の勉強はこげな風にどんどんつながるところがおもしろいんよ。

コハク酸(C4)からはATPがピルビン酸(C3)1個あたりで1個できるんど。
ピルビン酸(C3)は2個やったよってATPも2個できるいうことになるばいね。
コハク酸(C4)から水素原子2個が取れてリンゴ酸(C4)になり,
またまた水素原子2個が取れてオキサロ酢酸(C4)になってようやく一周するんよ。
こういう反応経路をもつもんを回路いうて,回路は全部で3つあるんばってん,
そのうちの2つ,今回のクエン酸回路と
もう一つオルニチン回路いうんを同じクレブスいう人が発見したんよ。
クエン酸回路を別名クレブス回路いうんはそのためやね。
ちなみにあと1つの回路は光合成の関係よってまた明日登場するんよ。
よかである。
長々書いてきた(2)の目的は何かいうと,
電子ば放出して
エネルギーばつくるんに適した水素原子の大集団力ば取り出したことにあるんよ。
これが次の(3)に生きるんばいね。

さて最後に(3)水素伝達系ばいね。
(1)と(2)で合計12箇所から2個ずつの水素原子が取れて
合計で24個になるばいね。
これがミトコンドリアのクリステに並ぶ酵素群に送られてくるんばい。
酵素群は
順にフラビン系→シトクロム系→シトクロム酸化酵素となっちょるんよ。
ここに水素原子が送られることによって
フラビン系で10個のATP,
シトクロム系と最後の酸化の段階でそれぞれ12個のATPが作られるんよ。
合計で10+12+12=34になるばいね。
酵母や乳酸菌の2個いう数に比べるとこればすごかばいね。
ATPの大集団力ばい。
これを可能にするんが水素原子の力なんよ。
21世紀は水素エネルギーが主役ばい。
水素エネルギーの研究では我が国日本が世界で一番進んどるんよ。
この国はまだまだ大丈夫ばい。
今は長く続く不況で苦しんどるばってん,
必ずロボットと水素エネルギーの力で雄々しくよみがえるんよ。
おいどん明るい未来を描いちょるんよ。よかであ~る。

水素原子はこげな風によかもんばってん,危険もあるんよ。
遺伝子ば傷つける心配ばい。
おおむね原子いうんは遺伝子にとって危ない存在なんよ。
したがってこれば安全に処理するためには絶対に酸素がいるんよ。
酸素と化合すると水素は安全な水になるもんね。
つまりおいどんたちが絶えず酸素ば吸わな死むのは
水素が処理できんようになり,
ひいてはミトコンドリアでの反応全体(クエン酸回路と水素伝達系)が
ストップするからなんよね。わかるかしらん?
(3)の目的はずばりATPの生成そのものなんよ。
ほとんどはここでできるもんね。

結果好気呼吸で生じるATPの数をまとめると
(1)解糖系2個
(2)クエン酸回路2個
(3)水素伝達系34個
で合計38個なんよ。このそれぞれの数字はぜひおぼえておくとよかね。
よく出題されるんよ。

今晩も何とか書き終えたばいね。
毎日どんどん長文化する思うのは気のせいかしらん?よかである。
難しかことばおもしろおかしく書くのは字数がいるもんね。
おいどんこれでもいろいろな工夫をこらしちょるんよ。
やっぱしおいどんばかかしらん?

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2004年11月15日 (月)

遺伝子分野

おいどん,昨日ようやく念願かなってダチョウさんと対面したのど。
自分のおるところからダチョウの顔まで1mも離れてなかったど。
おいどん,ダチョウさんと目と目があったんよ。
ダチョウさん「待っちょったぞ」
おいどん「うん」
みたいに不思議と心が通じ合ったばいね。よかね~。

携帯電話のカメラで撮影したので,それをアップしたい思うて,
MySync Suiteいうソフトばダウンロード購入して
パソコンにデータを取り込みよるとこなんばい。
今のCASIOの携帯に変えた時に
ケーブルと一緒にMysync Photo2いうソフトば購入しとったんど。
今回のSuiteはそれのグレードアップ版みたいやね。