授業道

教科・単元を好きで得意になる鍵とは?

前任校において,5月10日に実施しました生徒・保護者向け「人権教育講演」(テーマ:インターネットにおける人権侵害の現状と課題),9月24日に実施しました2年生対象「性教育講演」,および本日10月26日実施されました;「高校教科『情報』シンポジウムin九州」において,「専門教科情報に学んだ3年間」と題して講演を行った音声をそれぞれmp3ファイルにしました。興味のある方は,ダウンロードしてお聴きくださればと思います。→;「ラジオ出演・講演集」

「生物教師の作品集」『いのちのエイズ教育』(収録済)
「生物教師の生物学講座」
(ユニークな言葉づかいによる生物学の解説)

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明日(もう今日ですが)29日(水),我が修猷館高校に京都府から研修のための視察団がお見えになるのだそうです。多くは現場の高校の先生方のようで,各教科の授業見学をするとのこと。私の「生物」の授業もお一人が見学に入られるそうです。以前,このブログの中で書いたことがありますが,嘉穂総合高校時代,基本的にすべての授業がティームティーチングでしたので,常時教師仲間や実習助手の方に授業を見られていましたし,大学の先生方がビデオ撮影に見えたこともあります。つい先日も高校教科「情報」シンポジウム九州で講演をしたばかりです。見学者が入るから特別に意気込むなどといった気持ちはありません。普段通りの授業をお見せしようと思います。

単元的には,現在遺伝分野の連鎖と組み換えをやっているところです。昨日,サットンの「染色体説」の説明をし,ベーツソンとパネットが行った研究内容を用いて連鎖と組み換えについての導入部分を終えたところですので,明日の授業では,その理論的裏付けとモーガンの「遺伝子説」および三点検定交雑による「染色体地図」の説明および組み換え価の計算方法と演習,そういった内容になるでしょうか。

一般的に連鎖・組み換えのあたりになるとかなり苦手意識をもち,内容が理解できなくなる生徒さんが出てきます。しかしながら,私が独自に開発した遺伝学習メソッドは,メンデル遺伝から,連鎖・組み換えまで,簡単な作業を反復トレーニングすることにより,一貫して理解できるというものです。これを読んでくれているかつての教え子さんたちは,「三角形・丸丸丸・ブーメラン・残り一個」と書くと,「なつかしい!」という印象をきっともつことだろうと思います。

生物教師としての私の特徴の一つとして,生徒さんが比較的苦手にしやすい「遺伝」「遺伝子」「代謝」といった分野を教えることが得意中の得意ということが挙げられると思います。特に「代謝」を指導した思い出として,数年前,太宰府高校で実施された夏の進学セミナーの際,3日間の講義で,基本的な代謝マップを自分で描くトレーニングを行い,参加した全員,セミナーを境に「代謝」が苦手分野から得意分野に変わったということがありました。「遺伝」も同様です。私が作りました計算問題集のメソッドに従い,別の年の進学セミナーで,苦手意識を一気に払拭することに成功した生徒さんが数多くいました。

先日放課後,東大理Ⅰを受験するらしい3年生理系の生徒さんが,どこかの大学の過去問らしき酵素の問題を質問しに来ました。私は,酵素の前提となる触媒論を説明する際,大学レベルの内容を一部取り入れます。その方が触媒とは何か,さらには生体触媒である酵素と無機触媒とはどこが異なっているか等を理解させやすいからです。またその反対に,本来小学校の理科教育で教えておくべき,熱と温度の違い等も基礎の基礎まで掘り下げて説明することもあります。

幸い私は大学時代に小学生(1年生~6年生)の塾の講師と中学生(2年~3年)の家庭教師をした経験があります。いずれも全教科を担当しました。おかげで,小・中レベルの理科教育の単元内容もおよそは頭に入っており,時に必要があればそこに遡って指導するのです。この生徒さんも,多分酵素の性質や特異性について,より深く理解してくれたのではないでしょうか。満足気に帰って行く姿が印象的でした。

私自身の体験からも言えることですが,生徒がある教科・ある単元を好きで得意になるか,嫌いで苦手になるかという分かれ道において,指導する教師の影響力は絶大なものがあるように思います。遺伝学の祖と言われるグレゴール・ヨハン・メンデルは,自然科学を大変好み,上級教師の道に進みたかったが,得点が足りず不合格となり,結果,修道院勤務の道を選んだと言われています。メンデルの指導教員にもう少し力量があったら,1968年に「植物雑種の研究」が出版されることはなく,生物学史が今とは大きく変わったかもしれませんね。いずれにせよ,1900年にド=フリース,コレンス,チェルマクの3人がほぼ同時に「遺伝の法則」を発見することにはなったでしょうが,メンデルの先験的な研究成果がなかったら,彼らの業績の確かさがわかるためにはなお数年は要したでしょう。

明日の授業の単元内容を頭のどこかでイメージしながら文章を作っていたこともあるのでしょうか,例によって少し横道に逸れてしまいました(笑)。話を元に戻して,学ぶ側の立場から見た教科・単元を好きになるための要因,得意になるための要因を私なりに考察してみたいと思います。

好きになるための要因

(1)教科・単元の学習に興味を持つこと
(2)担当教師と良好な人間関係を保つこと
(3)教科・単元のテストで高得点を取ること

得意になるための要因

(1)教科・単元の学習に目的意識をもつこと
(2)自分の学習スタイルを確立すること
(3)教科・単元の学習に好んで向かうこと

こうして書いてみると,教師の役割は,教科・単元を好きになってもらうことの方にウェイトがあるように思います。得意になってもらうためには,ある段階から教師の手を離れた部分で生徒自身に学習スタイルを確立させる必要があるでしょう。私はその鍵を握っているのがノート作りだと思っています。この点につきましては,また別の機会に実例を挙げながら詳しく説明させていただきます。

上記(3)の部分で相互にリンクしていることに気づかれたでしょうか。基本的に,「好き」と「得意」は,循環関係になります。最初に教科・単元を好きになれば,テストで高得点が取れ,得意になるとともに,ますますその教科・単元が好きになります。理想的な好循環が生まれるのです。残念ながら,逆もあり得る訳です。きっかけが,そもそも食わず嫌いだったり,教師との人間関係だったりして,教科・単元を嫌いになると,テストで点数が取れず,苦手意識を持つともに,ますますその教科・単元が嫌いになります。

好循環を生み出す原動力は,生徒さんの努力もさることながら,私たち教師の役割に負うことが大きいと常々考えています。そのために,日々「語り」,「板書」,「ポインター」,「机間巡視」および「発問」といったそれぞれの教育技術を磨いていく必要があるのです。明日の京都府の先生による授業見学,日頃培ってきた技術を存分に発揮できる場となるように,より一層教材研究に励もうと思います。

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「授業道」こそ我が修む猷(みち)

前任校において,本年5月10日に実施しました生徒・保護者向け「人権教育講演」(テーマ:インターネットにおける人権侵害の現状と課題)および9月24日に実施しました2年生対象「性教育講演」の内容を録音したものをmp3ファイルにしました。興味のある方は,ダウンロードしてお聴きくださればと思います。→;「人権教育講演・性教育講演」
「生物教師の作品集」『いのちのエイズ教育』(完全収録済)は,こちらです。
「生物教師の生物学講座」(ユニークな言葉づかいによる生物学の解説)は,こちらです。

来る26日(日)に講演を行います「高校教科『情報』シンポジウムin九州」の詳しい内容です。→;「高校教科『情報』シンポジウムin九州」

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先ほど,前任校である嘉穂総合高校に勤務する先生の一人から相談の電話があり,話の流れから,いつものように授業に対する私の熱い思いを聴いていただきました。お忙しいところ,さぞ迷惑だったことかと思います。この場を使って,お礼とお詫びを申し上げます。

去る9月24日(水)に実施した「2年生性教育講演」のCDをお渡ししていたところ,ご自分が聴くのみならず,コピーをご実家のお母さんや妹さんにも差し上げられたとか。お母さんが高い評価をしてくださったとの話も伺い,たいへん嬉しく思いました。上記リンクにありますインターネットディスク上でmp3ファイルを公開してもおりますが,やはりCDの方が音質もよく手軽に聴いていただけるので,これからもお会いする方々に厚かましく(笑)お渡ししていこうかなとも思っているところです。

またいつものように話がそれてしまいました。脱線は,授業における私のクセでもあり,自分としては反省点でもあるのですが,代々生徒さんたちには好評です。今年は,進度をきちんと守る必要があり,あまり脱線話をしないようにはしていますが,現在「生物」の授業で取り上げている遺伝の分野で条件遺伝子の話をした際,教科書に例として灰色と黒色,そして白色のハツカネズミが掲載されていたのです。思わず,昨日の放課後,菓子パンのにおいを教えるために,ゲージに入ったハツカネズミにエサをちらつかせたところ,まるでブタのように鼻をつっこんで,手でネコパンチ(こっちの方は,我が家のペットのロシアンブルー兄妹がよく私に浴びせます)ならぬネズミパンチの嵐を浴びせてくる話をして苦笑を買いました。運動神経が素早い私は,ネズミパンチから見事菓子パンを守ることに成功しましたが,部員さんの一人が油断して菓子パンを盗られてしまった話も結構受けていたようです。

脱線から戻ろうとして,さらに脱線してしまいました(笑)。私はいったい何の話を書いていたのだったでしょうか???そうそう,授業技術の話でした。元に戻します。

「語り」の技術の大切さについては,電話の相手である先生にこれまでもたびたび語ってきました。だんだん,私の言わんとすることを,染み通るように理解して下さる様子が伝わってきてうれしく思います。「語り」の技術の例で,相手の先生が,落語を取り上げられたことがきっかけで,落語では,扇子が時には杯に,時には傘として使われ,表現上重要な小道具であるように,私たち教師にとって,授業中もっとも大切な小道具は,ポインターであるという話をしました。授業でポインターを使うという話自体,少々寝耳に水といった感じで,びっくりしてある様子でした。

そうなのです。授業をする教師に求められる技術として,「語り」「板書」と並び重要なのが,「ポインター」なのです。私としては,まず職場にいる間,ポインターを常時携帯することをお薦めします。いついかなる時に必要になるかわからないからです。理科の教師である私は,実験時の服装として当然のことながら,白衣をもっています。実験指導の流れで,教室での座学でも白衣を着てやっていた時期も以前ありました。

嘉穂総合高校に赴任して,LAN工事を自分でする必要性に迫られ,開校当時は毎日作業服を着て過ごしていました。嘉穂総合には,農業・工業の学科があり,生徒さんたちも担当教師の多くも作業服を着ています。ずばり,作業服が似合う学校だったのです。私の授業時のスタイルも上に作業服を羽織った形を自然と選びました。当時は,お客さんに応対する機会も多く,スーツをチョークで汚したくないという事情もありました。

4月に修猷館高校に異動になり,ホワイトボードの部屋もあった嘉穂総合の時以上に,教室でチョークを握り,文字や図表等を板書する時間が多くなっため,連日スーツを汚しまくりました。それに少々閉口した私は,転勤を機にいったんはお蔵入りしていた作業服を再び羽織り,教室に向かうようにしました。

現在,授業の時間が近づいてくると私はおもむろに作業服を羽織り,左の胸ポケットには,MDレコーダーを入れ講義の録音に備えます。また,ベルトの右側には,愛用のディジタルカメラをぶら下げ板書の撮影に備えるのです。左肩のポケットには,常時くだんのポインターが差し込んであります。これで授業準備完了となります。ちょうど,プロ野球の試合で,バッターが,ファウルチップよけのレガースや手袋をはめながら,自分がバッターボックスに入る順番を待つ心理に近いものがあるような気がします。

私にとって,作業服を着て,録音・撮影に備えるのは,一種の授業前の儀式なのです。それをしながら,数分後に迫った授業に向けて集中力を徐々にMAXに近づけていくのです。こればかりは体験してみないとわからないと思いますが,修猷館のような学校で1時間の授業をする緊張感は相当なものがあります。まず私語などは一切なく(居眠りは時々見受けますが…(笑))生徒さんたちの数十個の真剣なまなざしが,自分の一挙手一投足に注がれている感覚,それは,究極の喜びであると同時に,もの言わぬプレッシャーでもあります。もちろん,私自身はそれに応えるにふさわしい「語り」「板書」そして「ポインター」の技術を提供しているつもりです。

授業を授ける者と,受ける者との,いわゆる阿吽の呼吸は,半ば武道に通じるものであり,「授業道」とでも名づけるべきでしょう。生粋の生物教師である私は,日々,自己の「授業道」を極め尽くすべく,技術磨きに楽しく励んでいます。どうぞ今後とも応援よろしくお願い申し上げます。

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