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「情報教育」の学際性

前任校において,5月10日に実施しました生徒・保護者向け「人権教育講演」(テーマ:インターネットにおける人権侵害の現状と課題),9月24日に実施しました2年生対象「性教育講演」,および10月26日実施されました;「高校教科『情報』シンポジウムin九州」において,「専門教科情報に学んだ3年間」と題し講演を行った音声をそれぞれmp3ファイルにしました。興味のある方は,ダウンロードしてお聴きくださればと思います。→;「ラジオ出演・講演集」

「生物教師の作品集」『いのちのエイズ教育』(収録済)
「生物教師の生物学講座」
(ユニークな言葉づかいによる生物学の解説)

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定期的に訪問下さる方は,このページの右に最近付け加えた「あのひと検索」というリンクに気づかれたでしょうか。何かの際にたまたま存在を知り,試しに自分の名前を検索してみますと,どなたか私の調査をすでに依頼してあったらしく出てきました。この調査がどの程度のものか試すために,私と並んで掲載しています一人の人物についても併せて検索してみました。

果たして,私とこの人物との関係はいかに?


どうやらこのSPYSEEというサイトは,そこまでは見つけきれなかったようですね(笑)。中村萬里(なかむらまさと)という人物,そうです。父親同士が兄弟であり,私の従兄に当たる人なのです。現在,筑紫女学園大学の文学部教授の職にあります。方言学を専門としており,博多弁をまとめた本を出版して好評を博しているようです。コミュニケーションに関する著作物も数多くありますし,専門家の一人として,国際的なシンポジウムに招かれたりすることもよくあるそうです。最近の著書は下記の通りです。なお,氏名・講演内容等の記載および使用許諾の代理についてあらかじめ本人承諾を得ておりますので,その旨記しておきます。

中村萬里 『使える!マナーの鉄則100』 双文社出版,2007
中村萬里編『即訳!ふくおか方言集』西日本新聞社,2005
中村萬里 『人とうまく話せますか』双文社出版,2004
中村萬里,永淵道彦編『音声言語とコミュニケーション』双文社出版,2001

過去2回,代表を務めます「福岡情報教育授業研究会」の研究発表会で講演を依頼し,快く引き受けていただきました。その際,典型的な文系学部で教鞭をとる中村教授が,学生に対してマルチメディア作品の提出を課している事実を知り,大変驚きました。作品集CD-ROMもいただき,内容を拝見したのですが,どれも力作揃いでした。情報教育の上で,文系と理系の垣根がここまで低くなっているのかと感じ入った瞬間でもありました。

そもそも,私が講演を依頼した理由は,足かけ6年教科「情報」の授業に携わってきて,生徒のコミュニケーション能力を育成する取り組みの必要性を痛感したことです。献本としていただいていた『人とうまく話せますか』に目を通してみて,理系教科主導で行われている高校現場の教科「情報」に欠けている視点がずばり述べられていると思ったのです。そこで,自分はもちろんですが,研究会の仲間にも話をぜひ聞いてほしいと思い,講師として招いたという次第です。

余談になりますが,最初の講演依頼の際,私に対し,地元放送局の「お母さんにバンザイ!」というラジオ番組に出演することという交換条件を出されました。正直なところ,とまどいや不安はあったのですが,無報酬で講演を頼んだ経緯もあり,引き受けることにした。

収録2日前にアナウンサー(林田スマさん)の方から連絡を受け,当日約束の時間にスタジオに出向きました。あらかじめ,アウトラインプロセッサを用いて,語る内容を整理しておいたので,細かい打ち合わせができると大変喜んでいただけました。おかげで,15分間のアナウンサーの方との対談を,阿吽の呼吸で,スムーズにこなすことができたようにも思います。やってみてわかったのですが,身振り手振りや,板書等をフル動員できる授業と違い,純粋に音声のみで,メッセージを伝えるラジオというメディアは,自己の持つリテラシーの真贋を厳しく問われる場なのです。瞬時に数万人の聴取者が,自分の語りを受け取るという意味でも,まさに真剣勝負です。

林田さんの磨き上げた技術を垣間見る瞬間もありました。番組の中程で,母親に捧げる一曲を流すのだが,曲紹介の短い語り口が,それまで私と対談していた時のそれとは明らかに異なるのです。さすがにプロだと思いました。当日の収録内容につきましては,スポンサーからいただきましたテープの内容を;「ラジオ出演・講演集」に置いておりますので,興味を持たれた方はどうぞお聴きください。私が言わんとするところをご理解いただけると思います。

いつものごとく,脱線してしまいました。話を本題に戻しましょう。以下,「福岡情報教育授業研究会第4回研究発表会」(平成18年3月12 日)の中村教授の講演内容を私が,自分で記録しまとめたものを引用いたします(文責は私にあります)。その後,講演に対して感じたこと,新たな情報教育の展望等について書きたいと思います。

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コミュニケーションについて,日本語をやってきた。
大学卒業後ずっと日本語について研究している。

コミュニケーションには,バーバルとノンバーバルがある。
人は見かけによらずというのは,ノンバーバルの例である。

今日は,バーバルな面から日本語について考え,
コミュニケーションとはいったい何だろう
ということをもう一度考えてもらおうと思っている。

刊行した2冊
「音声言語とコミュニケーション」双分社出版
「人とうまく話せますか」双文社出版
 ネゴシエーションとディスカッション
の内容を抜粋して資料を作った。

著書その1「音声言語とコミュニケーション」より

これからの音声言語コミュニケーション教育

学生・生徒とコミュニケーション(情報教育)

日本の人の言語行動を前提とした人とのやりとり
から特徴として次の4つが挙げられる。

1 省略表現を好む 「福は内,鬼は外」「愛すればこそ」など

2 象徴表現    「わび」「さび」「しおり」「いき」など
(英語に訳せない)
           
3 閉鎖(韜晦)表現「沈黙は金,雄弁は銀」「もの言えば唇寒し」など
(おしゃべりは嫌がられる)

4 敬語(晴と褻)表現 「昨日」(サクジツ:キノウ)
            「今度」(コノタビ:コンド)
            「デス・マス調:ダ・デアル調」など

学校教育とは?
 国立国語研究所 甲斐先生による

教育課程審議会
1期から6期
         領域の立て方
1期 昭和22年 聞くこと・話すこと
2期 昭和26年    〃
3期 昭和33年    〃
4期 昭和43年    〃
5期 昭和52年 「理解」「表現」
6期 平成10年 話すこと・聞くこと

4期まで 聞くこと・話すことであったのが,
6期に  話すこと・聞くことと逆になった。

資料から判定すると,
聞くこと・話すこと→話すこと・聞くことへと,
すなわち,情報発信の方向に変わってきている。

新しい時代の教育は,
 モノローグ的(先生が話すことをひたすら聞く)
 (独話的)
から
ダイアローグ(対話)的コミュニケーション
へと変化を遂げる必要がある。

コミュニケーション教育は,
今や,話すことが主になってきたのではないか。

コミュニケーションという言葉が世の中で使われている。
コミュニケーションとは,何なのか,改めて考えてみた。

調べれば調べるほど,具体的に何を
コミュニケーションと言うのかよくわからない。

自分は,方言を研究している。
なぜ,方言を研究しているのかという理由の一つに
方言もコミュニケーションであるからというものがある。

著書2「人とうまく話せますか」
   ネゴシエーションとディスカッション より

金子みすゞさんの詩「こだまでせうか」

「遊ぼう」つていふと
「遊ぼう」つていふ。
「馬鹿」つていふと
「馬鹿」つていふ。
「もう逓ばない」っていふと
「遊ばない」つていふ。
さうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」つていふと
「ごめんね」つていふ。
こだまでせうか、
いいえ、誰でも。

自分の経験でも,
昔は,「痛い」と言うと,
祖母などが「痛いね,痛いね」と言ってくれた。

今は,「痛い」と言うと
親や教師が,「痛くない」とか「がんばれ」とか
言っていないか。

コミュニケーションは,
こだまし合うことと自分自身では考えている。

コミュニケーションがうまくいっていない人は,
こだましあったらどうだろうか。

この本の読者から寄せられた書評で
賛否両論がもっとも多かったのは,次の20行である。

============================

 一般的に、「あの人は、心を開いてくれない。だからコミュニケーションができない」とか「心がない人は、コミュニケーションができない」とか、コミュニケーションは心との関係で考えられています。そもそも、コミュニケーションは心と関係があるのでしょうか。心は目に見えません。心は触ることもできません。よくわからない心をもってコミュニケーションを考えることは非常に難しいと言えます。よく、心が先か、言葉が先かが言われます。ふつうは、心が先だと考えられています。心の中に何かが起こり、だんだん表現したいと思い始めます。そして、それを言葉にすることで詩や小説が生まれる。確かに、そう考えるのが自然です。しかし、私たちは、生まれて言葉を使い始めてから人との係わり合いが生じてきます。また、私たちの記憶は言葉を使い始めてからあるように思います。言葉を使うことができない時期の記憶をたどることは非常に困難です。心は言葉を使うことから形づくられていくのではないでしょうか。例えば、「いじめ」においでも、心がいじめるのではなく、言葉がいじめるのです。つまり、人と人との係わり合いの中で、私と他の人をつなぐのは言葉ではないでしょうか。
 言葉と言葉のやりとりの中で私と他の人の心を理解し、そうした言葉と言葉のやり取りの中にコミュニケーションが存在すると言えます。

============================

心理学科出身の人は,コミュニケーションを心と結びつける。
心の問題をいつもコミュニケーションと結び付けていないか。

自分は,純然たる国語国文学科を出て研究を行ってきた。
自分にとってはテーマは常に言葉である。

心はどこにあるのか?
心は目に見えない。
尋ねると,みなさんは,胸のあたりをさされると思う。
本当に心がそこにあるのか?私には分からない。

横にいる人の心は自分には読めない。
バーバルおよびノンバーバルなメッセージでこそ,
たとえば相手が自分を好きだと感じてくれていることがわかる。

学生時代の源氏物語の勉強等でも,心が先と言われてきた。
しかし,人とのやり取りは,言葉であり,態度ではないか。

楽しいから笑うのではなく,笑うから楽しいのだ
極端に言うと,
愛しているから愛しているのではない,
愛していると言うから愛しているのだ。

だまっていても相手のことはわからない。
言葉と態度でわかる。

言葉に注意をしながら,日々生きている。
方言を研究している。
言葉に思いやりを持ってやったら,
よりよいコミュニケーションが出来るのではないか。

コミュニケーションがなぜ難しいか考えてみる。
岡部朗一氏の論文(1987年)によると,コミュニケーションの
定義は126種類あるそうだ。

また,F.ダンス氏は,4000ぐらいの文献を読んで分類した結果,
次の15のタイプに分類できたそうだ。

 1.シンボル,会話、言語
 2.理解-メッセージの送出よりも受容
 3.相互行為、関係-能動的な交換と共同志向
 4.不確実性の減少-適応のために情報の探索へと導く、
   仮説的な基礎的欲求
 5.プロセス-伝達の順序の全休
 6.移送、伝達-空間と時間における意味の移動
 7.連結、結合-接続するもの、結合するものとしての
   コミュニケーション
 8.共同性-共通に分けあい、保有するものの増加
 9.チャンネル、伝送体、回路-通路や「乗り物」
  (記号体系や技術)にとくにかかわりのある「伝送」の拡張
10.記憶、貯蔵-コミュニケーションは情報の蓄積をもたらし、
   われわれはその情報の貯え「によってコミュニケート」
   できること
11.識別反応-選択的な注意や解釈のプロセスの重視
12.刺激-反応もしくは反作用の原因としてのメッセージの重視
13.意図-コミュニケーション行為の目的的性質の強調
14.時間、状況-コミュニケーション行為の文脈への注意
15.パワー-影響の手段として見られたコミュニケーション
                   (McQuai1,1984)

意味と定義が複雑である,それがコミュニケーションだ。
人が1人いれば違うコミュニケーションがある。

現在,企業で求められているものも,
コミュニケーション力であるといわれている。
その能力について再度考えてみたらどうだろうか。

聖書にも,はじめに心ありきではなく,
言葉ありきと書いてある。

自分は,まず言葉ではないかと考えている。

----------------------------

講演を聴いて2年半になりますが,以後,私の脳裏から一度も離れたことがない魔力のような力を秘めた文言があります。それは,

楽しいから笑うのではなく,笑うから楽しいのだ
極端に言うと,
愛しているから愛しているのではない,
愛していると言うから愛しているのだ。

という箇所です。

「笑うから楽しい!」「愛していると言うから愛している!」

日常的な感覚とは正反対なのですが,これこそが真実であるという気が日増しに強まってきます。普段の私たちがむしろアベコベの世界に生きているのではないかと!

また,コミュニケーションの専門的な定義を改めて学ぶ機会を得,そのとらえ方の難しさを知ると同時に,教育の土台を奈辺におくべきか,深く考えさせられもしました。以前から考えてはいたのですが,情報教育の実践に際し,文系の学問体系に学ぶ必要性をより強く抱くきっかけともなりました。

平成12年度から14年度にかけて全国で実施された新教科「情報」現職教員等講習会の対象は,数学・理科・家庭・工業・商業・農業・水産・看護の8教科でした。当初,普通教科「情報」に主に関わってきたのは,数学・理科・家庭の3教科の教員でしたが,近年,基礎教科が商業の教員が普通高校に異動し,「情報」専任になるケースも増えてきています。世間的には教科「情報」を基礎教科との兼務で行っている現状に対し,否定的な見方が多いようです。本来は情報学を体系的に学んだ「情報」の専門家が教えるべきという考え方が背後にあります。採用試験導入の遅れもよく指摘されるところです。

しかしながら,「情報」の学際性という観点でとらえた場合,兼務は決してマイナス面だけではないのではないかと私は考えています。確かに基礎教科との兼務は,担当教師にとって負担増であることは間違いありません。しかしながら,教材研究や評価等で苦労しながら,「情報」を担当することで,得られるものもまた大きいのではないでしょうか。私は,期せずして,専門教科「情報」の世界にどっぷりつかったわけですが,その体験がどれだけ多くの人との交流をもたらし,自分自身を成長させてくれたか,言葉には書き尽くせないぐらいです。

「福岡情報教育授業研究会」の仲間には,「国語」や「英語」の基礎教科をもち,公開講座等で「情報」の免許を取得した方がいます。学校の事情もあり,今のところ,「情報」の授業は担当されてはいないようです。時が至って,将来なされるだろう授業に対し,教科「情報」に新たな地平線をもたらすだろうと,大きな期待を抱いています。その際は,ぜひシラバスをいただいたり,実践の成果を伺ったりしたいものだと思います。

一方で,私が事務局長を務めております「福岡県教科等研究会情報科研究部会」の役員に,本年度から,基礎教科が保健体育の方が加わってくださいました。以前から噂は聞いていたのですが,実際,お会いして,意欲的に教科「情報」に携わっておられる様子がよくわかりました。一度,授業を拝見してみたいものだと願っています。

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コメント

Following my own investigation, millions of persons on our planet get the home loans from different creditors. Hence, there's a good chance to receive a sba loan in all countries.

投稿: Socorro21ROWLAND | 2011年12月20日 (火) 22時06分

長谷川マリコさん(ペンネームなのかな?)

コメントありがとうございます。

>倉光せんせ~
>遺伝が分かんなぃんですケドやっぱ私にゎ無理ですかね

現在授業を担当している2年生の方ですよ…ね。

それとも,「生物教師の生物学講座」の遺伝分野を読まれて勉強してある一般の方とか?

普通に考えて前者だと思い,お答えいたします。

無理なんて絶対ありません。
分からないとすれが,それは私の教え方が悪いのです。
まだまだ改善の余地があるということですよね。
ペースも今回かなり速かったですしね。

授業前後や授業中,声を掛けにくければ
どうぞ遠慮なく,昼休みでも放課後でも
訪ねてきて下さい。
絶対,理解できるまで根気強くお付き合いしますから。

過去,私が勤め,「生物」を担当した
学校の生徒さんで遺伝が分からなかった人はいません。
(本人がまったくやる気がない場合を除いて)

ですので,長谷川さんも大丈夫ですよ。
絶対に遺伝,好きで得意になれます。
まずは,現在トレンドになっている
家系図問題に,あなたもはまってみませんか(笑)。

投稿: 倉光浩二 | 2008年11月17日 (月) 02時01分

三苫 裕美子先生

コメントありがとうございます。
たまたまお見かけした三苫先生のブログで
このような形で交流できますこと嬉しく思います。

いつも生物部が活動に使っている生物教室を
出前授業で使っていただいているご縁もありますので。

>倉光先生、ブログにコメント有難うございます

いえいえ,どういたしまして。
こちらこそありがとうございます。

>先生のブログは中々読み応えがありますね~~!!
>さすが・・・教育者です・・・素晴らしいです。

最近の記事は,以前論文として発表した内容を
元にしていますから(笑)。

また,教育について思うこと,日頃の実践内容等,
気ままに書き綴っていきますので,
今後とも宜しくお願い申し上げます。

>お礼のコメントでした・・・

ありがとうございました。

私も一度フラワーアレンジメントの
体験,してみたいなぁなんて考えています。

また,来年もぜひ出前授業の方,
よろしくお願いいたします。

投稿: 倉光浩二 | 2008年11月17日 (月) 01時55分

倉光せんせ~heart01
遺伝が分かんなぃんですケドやっぱ私にゎ無理ですかねsign02sweat01

投稿: 長谷川マリコ | 2008年11月16日 (日) 11時33分

倉光先生、ブログにコメント有難うございますhappy01 先生のブログは中々読み応えがありますね~~!!さすが・・・教育者です・・・punch素晴らしいです。
お礼のコメントでした・・・wink

投稿: 三苫 裕美子 | 2008年11月 6日 (木) 19時17分

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