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ノートこそ最高の「情報手段」

前任校において,5月10日に実施しました生徒・保護者向け「人権教育講演」(テーマ:インターネットにおける人権侵害の現状と課題),9月24日に実施しました2年生対象「性教育講演」,および10月26日実施されました;「高校教科『情報』シンポジウムin九州」において,「専門教科情報に学んだ3年間」と題し講演を行った音声をそれぞれmp3ファイルにしました。興味のある方は,ダウンロードしてお聴きくださればと思います。→;「ラジオ出演・講演集」

「生物教師の作品集」『いのちのエイズ教育』(収録済)
「生物教師の生物学講座」
(ユニークな言葉づかいによる生物学の解説)

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『情報教育は,けっしてコンピュータ教育ではない。コンピュータ嫌いを作ってしまったのでは教科「情報」の意義は果たせない』この言葉は,平成12年3月に九州大学教養部にて実施された新教科「情報」指導者研究協議会において,当時文部省の調査官の方々が繰り返しおっしゃった言葉です。しっかりノートにも記録しています。情報教育の定義をきちんとした形で認識したのもこの時が最初でした。学会等の名称にも用いられているように,情報処理教育,教育工学,メディア教育など似たような名称をもつ教育の分野がたくさんある中で,「情報活用の実践力」「情報の科学的理解」および「情報社会に参画する態度」という,いわゆる情報活用能力の3つの観点に基づく教育こそが,正しく情報教育であるということです。

私が教科「情報」の授業を担当し,意識して情報教育を行うようになって6年になります。この間,情報教育をコンピュータ教育に落とし込まないという戒めだけは常に持ち続けてきました。また,3つの観点についても手垢がつくまで学習指導要領解説の本をめくり,この上なく真剣に向かい合ってきたつもりです。

「情報活用の実践力」とは,情報教育調査研究協力者会議がまとめた文言では,「課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて,必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し,受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力」となっています。コンピュータは有力な情報手段の1つであり,その活用が上記の能力に含まれていることは言うまでもありませんが,課題や目的によっては,必ずしもコンピュータを必要とせずに情報を活用する能力もまた必要だということです。

学校で生徒が学ぶ教科・科目の授業を,課題や目的として設定した場合,主たる情報手段は「ノート」ではないでしょうか。授業における主な情報は,①教科書の記述②板書③教師の説明④生徒の発言等です。これらの情報を取捨選択し,自分の「ノート」にまとめ,不足の箇所は調べ学習をしたり,教師や友人に質問したりして解決する作業は,上記の文言に書かれた,「必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造」する過程そのものであるといってよいでしょう。

私は,前述の通り平成12年の3月に文部省主催新教科「情報」指導者研究協議会(九州大学)に参加しました。これは,平成15年度から始まった教科「情報」の免許取得者養成のために3カ年にわたって実施された現職教員等講習会の講師の研究協議会でした。また,同年5月末から6月はじめにかけて,文部省主催第1回教育情報化推進指導者養成中央研修講座(茨城県つくば市国立教育会館学校教育研修所)に参加しました。全国の中学校・高校の数学・理科の教師50名の集まりでした。

新教科「情報」指導者研究協議会は,5日間のほとんど全日程が,大講義室における座学の講義でした。会場を取り巻くものものしい雰囲気の中,講師としての職務を全うするために,入れ替わり立ち替わり行われる講義内容の,現れては消えていくプレゼンテーション画面を,必死でノートに書き写す作業に没頭しました。全講義通して書いたノートは,70ページにも及んだのです。初日に受け取った「学習指導要領解説 情報編」(案)のコピーの束も幾度も繰るうちに,次第にボロボロになっていきました。それに比例するかのように,私の頭の中には,教科「情報」の成り立ちからその目的まで,徐々にインプットされ始めていたのです。

一方の第1回教育情報化推進指導者養成講座中央研修は,実習のみならず,講義の時間も含めて2週間のほとんど全日程が,デスクトップ型のコンピュータが置かれた机に座った形式での受講でした。講義の際は授業支援ソフトが用いられ,講師の画面を受講者が見たり,受講者の画面を講師側で確認したりされていたように記憶しています。北海道から順に,受講者番号順に席割りがなされており,九州から参加した私は,受講者番号が40番台であったので,部屋の最後方の座席になりました。縦に長い部屋でしたので,講師の姿や説明のために書かれるホワイトボードの字が見づらく,記録をとるのにずいぶん苦労したことをおぼえています。それに加え,講義中も目の前にはコンピュータ画面が常にちらついて,余計に集中力を保ち続けることが難しい状況でもありました。

最終日,研修記録や制作課題集等をMOやCD-Rに入れ,持ち帰る準備をしていた私は,新教科「情報」指導者研究協議会の時に感じた心地よい達成感が,十分得られないままの自分にもどかしさを感じました。2週間という長期にわたる研修を受けたにもかかわらず,内容が十分に頭の中に入っていない,消化不良のような感覚があったのです。

この年相次いで受講した2つの研修体験から,コンピュータ実習を特に必要とする以外は,まっさらな机の上で講義を受ける方が学習効率の点ではるかに望ましいという信念を抱くようになり,教科「情報」のすべての授業を,教室での座学中心に展開する現在のスタイルを確立しました。

手書きのノートこそが,もっとも効率がよく,役立つ情報手段であると再認識する体験を最近しましたので,そのことにもふれておきたいと思います。私は,一昨年,昨年と2年間にわたり,九州工業大学情報工学部の「情報」専修免許の免許法認定公開講座を受講させていただきました。「情報学」という確固たる学問体系の姿がおぼろげながら見え始めてくるとともに,コンピュータという機械が成立するに至る,いわばメタ-コンピュータ的な理論に接し,ぜひその面白さや意義といったものを生徒に伝えたいという気持ちが強くなりました。

私は,アウトラインプロセッサと呼ばれるソフトウェアを,ある面でもっとも進んだ情報ツールであると感じています。講演や研修会等に参加した際の記録や,毎日の授業の準備,および自分が講演・発表を行う際の骨子づくり等,実にさまざまな目的で日々活用しているところです。アウトラインプロセッサで作成したものは,きちんと章立てができた状態でテキストファイルに出力できるし,htmlファイルとしてそのままウェブを作ることも可能です。特に仲間と情報を共有したい場合,すみやかにメール等で提供できることが最大のメリットとなります。

一昨年度,免許法認定公開講座を受講するに当たって,例によって仲間への情報提供を念頭に置き,講義の記録をアウトラインプロセッサでとりました。しかしながら,いざテストを受験するためや,レポートを書くために見直した際,頭にさっぱり入っていないことがわかったのです。たとえば,「オートマトン」の講義で,非決定オートマトンを決定オートマトンに変換する方法論を習っていたにもかかわらず,まったく理解できていなかったりしました。結果的に,仲間の先生方に勉強会を開いてもらい,習ったものを自分でノートに手書きして,遅まきながらようやく理解できたという内容が多々ありました。

その反省から,昨年度は講義内容の共有という目的はひとまず置いておき,講座ごとに1冊のノートを手書きで作りました。のべ4日間の講義でほぼ1冊分の紙面が埋まります。後から見直しても,その時その時の講義内容を反芻することが出来ますし,自分が苦心して作り上げた数式やアイデアといったものが,乱雑な文字の羅列の中,輝きを放っているのがまたうれしいものです。今回の体験を通して,以前から自分自身が主張して実践してきた内容であるにもかかわらず,より一層,教師の板書と生徒のノートの呼応こそが,物事を学ぶ上でのキーになる営みであると確信するに至りました。

基礎教科である理科(生物)の授業において,十数年にわたり実施してきたノート作りの指導を「情報」においても踏襲しています。それは,次のような方法です。

①年度当初,第1回の授業でオリエンテーションとして先輩のノートの模範例を配付し,ノート作りのノウハウを指導する。
②ノートを横置きに使わせ,それぞれのページを上下2段に区切り,上段には板書をそのまま写させる。下段には口頭で説明した内容を書き取ったり,自分で勉強した内容を記入したりさせる。授業中に感じた疑問点を書くことも大いに推奨している。
③ノート検査の際の評価規準(A,B,CのうちB評価)として,「板書内容をきちんと写しておくこと」という項目を明確に示す。下段のスペースを工夫して有効に使えた場合,さらに上の評価(A)を与えることも併せて確認する。

このノート作りの方法は,初任者の教科指導員として,いろいろな授業を見学し,板書記録をとる際に独自に編み出したものです。板書内容をそのまま保存でき,研究の素材にできるというメリットがあったためです。この形で作るノートは,生徒の立場からは,授業に能動的に取り組むことができ,考査準備の際に授業内容が思い出しやすかったり,勉強しやすかったりするというプラス面があるようです。8月の終わりに,駿台予備校の夏季研修会で,2つの講座を受講しましたが,その際も,普段生徒さんに指導しているのと同様に,上段に板書を写し,下段に講師の説明を書き取るという方法で記録しました。講義スタイルの授業を聴く際,手前味噌ながらやはりこの方法がもっとも効率がよいように改めて感じた次第です。

「生物」のノートも太宰府高校の生徒さんが作ったものに,目を見張るすぐれた例がありますし,現在担当している修猷館の生徒さんも実に立派なノート作りをしてくれていますが,今回は,普通教科「情報」・専門教科「情報」のそれぞれの生徒さんのノート例を掲載させていただきます。

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コメント

高梨 美嘉さん。

申し訳ありません。お名前に記憶がないのですが,
初めましてと挨拶すべきなのでしょうか?(笑)。

投稿時,メールアドレスを入れて下さっていますね。
もし初めましてでなければ,メール等ででも,
私の知る名前で(笑)名乗って下さいますと幸いです。
きちんとご挨拶をしたいと思いますので。

>お元気ですか。

はい。おかげさまですこぶる元気です。

11月30日(日)大分市民温水プールで開催されます
大分マスターズ水泳選手権大会に出場しますので,
今週ぐらいから練習にも励もうかと思っています。
50m自由形と100m自由形2種目に出ます。

応援よろしくお願いいたします。

>これからもブログ更新楽しみにしてます

最新記事を,論文級の内容にし,
現時点では,これ以上書くことが
なくなったこともありまして,
更新をさぼっています。

また,そのうち教育について思うことや,
日頃の実践内容等気ままに書き綴っていきますから,
どうぞまた訪問してみて下さいね。

投稿: 倉光浩二 | 2008年11月17日 (月) 02時09分

お元気ですか。これからもブログ更新楽しみにしてますheart02

投稿: 高梨 美嘉 | 2008年11月16日 (日) 11時26分

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http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1225117779/ [続きを読む]

受信: 2008年10月31日 (金) 07時26分

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