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ITを活用した授業を

来月2日に、研究会の仲間が在籍する
田川市の中学校で研究発表会があります。
平成15・16・17年度
田川市教育委員会情報教育推進授業研究助成事業
の一環だそうです。

研究主題は、

『自ら学ぶ意欲を高め、問題を解決できる生徒の育成』
~ふりかえりを生かした個別指導の工夫~

となっています。

日程としては、「公開授業」と「全体会」の二本立て
です。
研究会の仲間からは、
「公開授業」を2名が、
「全体会」の講演を1名が行います。

講演を行う講師の先生は、公私ともに日常、
大変親しくさせていただいている
大学教官の方です。

『情報モラルと情報セキュリティについて』という
演題だそうですから、
中学校教育を念頭に置いた上で、
どのように話を展開されるか、
今から楽しみにしています。
自分だったら、同じテーマで、
いったいどんな話をするだろうかと
具体的にイメージしながら、
当日を楽しみに待ちたいと考えています。

一方「公開授業」の教科名、単元、内容は
次のようになっています。

教科名 単元・内容
----------------------------
理科    音の性質
      ビデオカメラやコンピュータを用い、
      音の伝わり方を調べた実験の測定データを解析する。
         
美術    鑑賞「西洋を魅了した浮世絵」
           東西の近代美術をスクリーンに写して比較鑑賞し、
      相互の影響関係について学習する。

国語    世界に目を向ける「プロジェクト金川」
      プレゼンテーション発表
          会社組織による事業計画
      (廃品回収とリサイクル活動)
      についてのプレゼンテーションを行なう。

総合的 視野を広げ、生き方を考えよう
な学習   面接マナー習得のため、テレビ会議システムを
       活用した実習を行なう。

音楽      心を込めた表現を工夫し、合唱の喜びを
        味わおう
            「青春の1ページ」の表現を聴き比べ、
        自分たちの課題を発見する。
----------------------------

これを見ただけでも、いわゆる教育の情報化は、
高校よりもむしろ中学校の方が進んでいるように
思います。

私も、前任校でいわゆる学校インターネット事業
「インターネットを用いた先進的教育」の研究活動を
3年間に渡って行い、成果をまとめて文書の形で
報告しました。

この時、インターネットを利用した教育に取り組んだのは、
「英語」「芸術」「情報」の3教科でした。
前任校は、芸術科と普通科の英語コースがありましたので、
「英語」「芸術」に関しては、
学校インターネット事業というよりも
学科・コースの教育内容のまとめといった感じでした。

結果的に、「情報」以外の他教科にITを活用した
授業展開を広げる取り組みは
うまくいかなかったということです。
私も理科の授業の中で、E-learning教材は早くから
導入してはいましたし、
調べ学習にインターネットを一部使ったという
事例はありましたが、
研究成果としてまとめるレベルには至りませんでした。

一方、この中学校の研究内容を見ると、
「総合的な学習」はもとより
「理科」「国語」「美術」「音楽」と
それぞれ、教科本来の教育目標を達成する上で、
実に適切にIT教材を活用してあることに気がつきます。

すべての授業が同時展開で実施されるので、
私が実際に見学できるのは1つしかないのですが、
どれを見ようか迷うぐらいです。
全部を見て回るという手ももちろんありますが、
私はあまり好きではありません。

授業参観は、
やはり「導入」「展開」から「まとめ」まで
すべてを通して観てはじめて、
授業者のねらいとするところや
工夫を凝らした点、そして山場の作り方といった
授業の醍醐味が味わえるからです。

私は、採用4年目に
初めて3年生の担任をしながら
当時試行段階であった初任者研修の
教科指導員を務めました。

若い新規採用の先生と一緒に、
理科教育を学ぶ気持ちで研修に取り組みました。
同じ教科のみならず、
他教科の授業もどんどん参観しに行きました。

生徒から授業がうまいという評判を
耳にしていた先生や
以前から機会あればと目を付けていた先生方に
「初任者のためですから」と理由を付けて
その実、自分自身の勉強のために
ここぞとばかりに参観をお願いしたのです。
中には難色を示される方もおられましたが、
たいていは、快くOKしてくださいました。

授業は、言うまでもなく、
教育の専門職である教師にとって
もっとも基本的な技術です。
同じ専門職として
例えば、外科医の場合と比べてみると
なかなか面白いものがあります。
外科医は、
手術の際にその人の持てる技術が
白日のもとにさらされ、
1回1回の手術の出来が
大きく評価の対象になります。

手塚治虫さんの「ブラックジャック」を読んで
医師を志したという人も多いと聞きます。
漫画の中で、主人公が
無免許医ということで、
医者仲間から中傷されたり、
迫害されたりされながらも、
なお、世界中から高く評価されるのは、
手術の技術あればこそです。

翻って、同じ専門職である私たち教師は、
どうでしょうか?
果たして、職場の中で
授業技術でお互いを評価しあっているでしょうか?

前任校で、管理職から運営委員全員に
現在の学校の問題点と思うことを
端的に書いて提出するようにとの
課題を与えられ、
私は、前任校に限らず、
高等学校の学校現場全体に蔓延する
生徒と教師の価値観のずれを
指摘しました。

生徒は、教師を授業技術で評価します。
一方、教師間では
必ずしも(というより、全然でしょうか?)
そうではなく、
事務能力や、生徒管理能力といった
別の価値観が横たわっているのが現状です。

特に普通科高校において、
生徒は、実習科目も一部あるとはいえ、
基本的に1コマ50分間の授業を6コマ
教室で授業を受けて1日を過ごします。
この6コマのうち、
生徒が教師の高い授業技術を認め、
受講するのが楽しみになるような授業が、
仮に4コマあったらどうでしょう?
生徒は登校すること自体、楽しみにならないでしょうか?
また、もし仮に
そういった授業が2コマしかなかったら
残りの4コマは苦痛に感じるでしょう。
やがて、学校生活そのものが
絶望へと変わっていくかもしれません。

私は、この事実の中にこそ
学校再生の鍵があると思っています。
自分が研修主任を務めたとき、
先生方に授業改善をはかっていただくために
できうる限りの手を打ちました。
わずか2年で次の仕事に移らなくてはならず、
志半ばで授業改善の取り組みを終え、
十分な成果を残せなかったのが心残りです。

私たち教師は、一にも二にも
授業技術を磨くことに
心を向けるべきではないでしょうか。
基本的な技術は、
教科が違えど、通用するはずです。
ITの活用にしても、
教科「情報」の中で生徒が身につけたことは
他教科の授業でも生かせるはずです。

今回の研究発表の公文書を
事務室で受け付けていただいたにもかかわらず
誰も行くはずがないという思いこみで
しまい込まれていました。

高校だから、義務制だからといった
狭い枠にとらわれず
どんなに忙しいさなかであっても、
常に広い視野を持って、研修の場を求め、
授業技術を磨く教師でいたいものです。

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