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「情報産業と社会」の授業報告

2学期制をとっている嘉穂総合高等学校は、明日で前期が終了します。
来週の3(月)・4(火)・5(水)の3日間は秋期休業です。

生徒は休みですが、私たち教職員に休みはもちろんありません。
この期間に、会議の予定もいくつか入っていますし、
業者さんに来ていただいてパソコン教室のメンテナンスもします。
この機会を利用して、中学校の訪問もさせていただこうと思っています。

今日の1時間目の「情報産業と社会」は
私にとっては、ITシステム科の前期最後の授業でした。

前時に引き続き、「情報モラル」の単元を実施しました。
例によって、教材研究の講義・板書計画です。
教科書(実教出版「情報産業と社会」)をまとめたものです。
前時の分も一緒に載せておきます。

高度情報通信社会とモラル
高度情報通信社会 (情報社会)
 …各家庭でインターネットを利用してWebページの閲覧や電子メールの送受信
  ネットワーク上につくられた仮想世界
  通常の社会と同様にモラル(道徳や倫理)が必要

A.情報社会におけるモラルと課題
(1)情報社会における個人の責任
インターネットの発展→個人による情報発信を可能に
           例)Webページの開設
             掲示板への投稿
             電子メールによる情報のやり取り

情報社会においては
 個人が発信した情報→他人や社会に大きく影響する場合がある
プライバシーや著作権を侵害する可能性有り

1.具体的な問題点
(a)CASE1 Webページ上への不適切な内容の掲載

 けんかをした友人の名前をあげ、Webページに悪口を書いたとしよう。
 この友人のことを知らない人たちが、このWebページをみたら、友人は
 どうなってしまうだろうか。
------------------------------------------------------------------
 インターネット上に公開されたWebページ
  → 不特定多数の人が見ることが出来る
    クラス紹介のWebページには、実名を入れることを許可していない
    自治体がほとんどである。
    (プライバシー保護の観点)

(b)CASE2 会社の電子メールを使った勧誘

 会社員のあなたが知人に頼まれて、会社の電子メールを使って、
 ある会社募集の案内を不特定多数の人に送ったとしよう。この場合、
 メールアドレスから、会社名を特定できることが多い。この電子
 メールを受け取った人たちは、どこにクレームをいうだろうか。
------------------------------------------------------------------
 企業や学校から発信される電子メールには、その企業や学校が特定でき
るアドレスがついている。
  クレームは、個人ではなく、会社や学校にくる

(2)知的財産権と著作権
著作権…イラストや写真、音楽、ソフトウェアなどの著作物を
    無断で使用できない権利

知的財産権の一部
 → 人々によって創作されたものを保護する権利
 ・著作権[著作権法]
 ・著作隣接権 [著作権法]
 ・産業財産権(工業所有権)
   → 特許権[特許法]
     実用新案権[特許法]
     商標権[商標法]
     意匠権[意匠法]

     法律により、保護内容や権利がどのように発生するのか
     どのくらいの期間保護されるか
     どこに登録するのか
     などが決められている。

 ※ 自分が作成したイラストや、撮影した写真が偶然見つけたWebページにあったら
 … 作者に掲載中止を求めることができるし、場合によっては
    法的手段に訴えることもできる。

著作権は、創作時に自動的に発生する。
他人の著作物を利用したい場合、必ず著作権者に利用の許可をもらうことが
必要になる。
Webページに掲載されているものについては、電子メールで許可を得ることが
一般的。
ソフトウェアを複数のコンピュータにインストールする場合、
 → フリーソフトであること
   台数分のライセンスがあること

(2)の部分の授業展開として、
最初に、
「イラスト、絵、音楽、小説などオリジナル作品を作ったことがある人、
手を挙げてください」と呼びかけたところ、少数の生徒が手を挙げました。
さらに、
「夏休みの宿題などで描いた絵や作った工作などもいいですよ」
と付け加えたところ、挙手が大半の生徒に増えました。

今から、勉強する著作権法を中心とするいくつかの法律は、
本来、違反した人を罰するために作られたのではなく、
作品の価値を認め、それを作った人の権利を保護するためのものだと
説明しました。
法律というもののイメージをマイナスからプラスに転じたいという
思いあってのことです。

著作権はどうすれば得られるかという問いかけをし、
例として、発明による特許権の場合を説明すると
案の定、著作権も特許権と同じように届け出が必要であるように
生徒は受け取りました。
そこで、著作権は届け出は必要なく、
創作時に自動的に発生する権利であることを説明し、注意を引きました。
意外に思った生徒も多かったようです。

そこで、どんな作品が著作権の対象になるか考えさせるために
黒板に「へのへのもへじ」をもじった「へめへめもへじ」を書いて
これは、私の著作物として著作権が認められるかどうか尋ねてみました。
一部、迷っている生徒もいたようですが、
多くの生徒は、私の投げかけ方から察して
著作物ではないのだろうと判断できていたようです。
オリジナル性がほとんどないからというのが、その理由になります。

続いて、前時に配付した「合法?違法?」のプリントを出させ、
この問題を解説しました。

(11) K君は自分の、文字と画像からなるWebページとデザインから構成まで全く同じWebページを発見し著作権侵害で訴えた。

さて、毎日私のブログをのぞいてくださる読者のあなた、
(そういう奇特な方がおられるのでしょうか?(笑))
すでにご自分の答を出してあったでしょうか?

この問題、過去の体験からも不正解率がもっとも高いものの1つですね。
K君の行為が合法か、違法かで判断する必要があります。
簡単に表現し直すと、この場合、K君の著作権が認められるか否かです。

あらかじめ、生徒にどちらを選んだか尋ねてみたところ、
圧倒的に○が多かったことは言うまでもありません。
しかしながら、正解は×なのです。

理由は、Webページは、もとを正せばhtml言語であり、
文字と数字の羅列に過ぎないのです。
極めて、オリジナル性が高く、
技術的にも新しいものが取り入れられていたりすれば
万に1つ、著作物として認められることがあるかもしれませんが、
通常は、文字と画像程度のWebページでしたら
著作物になりません。
「へめへめもへじ」と同様、オリジナル性に欠けるというのが、
その理由です。
おわかりになりましたでしょうか?

引き続き、生徒にとってなじみのある流行歌を例に
著作権は、作詞・作曲に対して認められるが
それを歌った歌手の人には何の権利もないのか?
と問い掛け、問題意識をもたせた上で
著作隣接権の説明をしました。

あわせて、「合法?違法?」のプリントの

(7) G君は自分のバンドでオリジナル曲とメジャーアーティストの曲を演奏し、そのライブ映像をホームページで公開した。

を取り上げました。
生徒にどちらを選んだか、尋ねてみますと
自信なさそうにではありましたが、○に挙げた方が多かったようでした。
正解は×です。

前段のオリジナル曲については、G君のバンドに著作権がありますし、
演奏に伴って著作隣接権も生じます。
後段のメジャーアーティストの曲についても
著作隣接権はあるかもしれませんが、
肝心要の著作権は、作詞・作曲者が保有しています。
個人で楽しむために、演奏するだけであればよいのですが、
ホームページ(Webページ)上で
不特定多数の人に公開するのですから、
作詞者・作曲者の使用許諾が必要となります。

では、ホームページ(Webページ)に公開さえしなければ
問題ないのでしょうか?
実は、この問題のG君、二重に著作権違反を犯しているのです。
不特定多数対象のライブで、メジャーアーティストの曲を演奏したという時点で
もう立派な著作権違反なのです。
したがって、ホームページ上での公開あるなしに関わらず、
著作権違反となります。
生徒には、一般公開(不特定多数対象)の文化祭のステージでも
メジャーアーティストの曲を演奏する場合、
許諾が必要となることを補足説明しました。

短縮授業であったこともあり、
産業財産権(工業所有権)、特許権、実用新案権、
商標権、意匠権のそれぞれについては、
名前を板書するにとどまり、詳しく説明する時間がありませんでした。
この点は、計画のまずさを露呈した形となり、
大きな反省点ですね。

また、本校の「学校案内」にアップ写真が載った生徒に
対して私が許諾を得た例をもとに肖像権についても
簡単にふれました。
「情報産業と社会」の教科書をくまなく調べてみましたが、
肖像権についての記載がないようでした。
「情報と表現」の方で取り扱う方がよいという判断なのでしょうね。

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