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教科「情報」設立の背景と「情報」の課題

私は、現職教員等講習会の仕事や、参加させていただいた
研究協議会等で多くのことを学ばせていただきました。その
過程で得られた一つの結論として、高等学校の教科「情報」
は、れっきとした職業系の教科であり、産業界からの強い要
請で誕生したのだということです。

特に既存の教科では、対応できない「情報モラル」と「マルチ
メディア」の領域が必要とされた結果であると聞いています。

産業界と高等学校現場の変遷は、順序として、

(1)インターネットの急速な普及(現時点で家庭での普
及率は80%だそうですね)に伴う、予想もしなかった
形の高度情報通信社会の到来により、産業構造が大きく
変化

(2)産業界から初等中等教育における情報教育の在り方
にダイナミックな変化を求められる

(3)社会の要請に対応するため、中央教育審議会等で議
論した結果、新教科「情報」設立が決定し、新学習指導
要領に盛り込まれる

(4)平成12年度から14年度までの3年間にわたり、現職
教員等講習会が実施され、「情報」の免許をもつ教師が
育成される。

(5)高等学校において、平成15年度の新学習指導要領
施行に伴い、一斉に「情報」の授業が開始される。

みたいになるでしょうか?

当然、教科書もこの過程の中で、各社現場の教師を集め
た意見交換会を実施したり、にアンケート調査を行ったり
して作り上げられたのだと思います。

産業界の要請に対する高等学校現場の応じ方としては、
次の3段階になるでしょう。

専門学科情報科 > 専門教科情報 > 普通教科情報

これを産業に当てはめると

情報通信(IT)産業 > e-ビジネス産業 > 全業種

のような感じでしょうか。

この中で、普通教科情報に求められる教育内容は先ほど
も書きました「情報モラル」と「マルチメディア」の領域を
含む次の項目になると思います。

・情報の収集・分析・発信の能力育成
・情報常識の徹底

いわゆる3つの目標というものを私なりにかみくだき、表現
したものと思ってくださって結構です。

先日ある授業支援ソフトの会社の方と3時間ほどお話し
する機会があり、IT産業が高校現場に何を求めているかを
つぶさに伺う機会を得ました。その時の感触も参考にしなが
ら、以下それぞれの内容を具体的に書いてみたいと思います。

情報の収集と分析に関しては、今後図書館機能の再構築
や新聞を用いた教育(NIE)の研究が必要になると思
います。ブレインストーミング法(BS法)、ブレインライティング
法(BW法)、KJ法、三色ボールペン情報活用技術なども適宜
取り入れると面白いと思います。

情報の発信に関しては、模造紙・プレゼンボード等ほか
にも方法があるとはいえ、産業界がそういったものを用
いる能力を今更求めているとは思えません。ここはずば
り、コンピュータのアプリケーションソフトウェアを用
いたプレゼン能力ということになるでしょう。

わずか2単位しかない普通教科「情報」の中で生徒のプ
レゼン実習に何時間ぐらいさけるかという問題提起は、
先日の情報交換会のなかでもさせていただき、およそ
10時間ぐらいという目安を語り合ったところでした。

将来、生徒がビジネスの現場でプレゼンテーションを行
う場面を考えた時に、やはり1人で実施できる力を養い
たいと思うのです。研究活動をグループで行うのは大い
に結構ですし、協調性を養ったりできる面も期待できる
と思いますが、プレゼンに関しては、P・D・Sすべて
にわたって1人でやらせたいという願いを私自身はもっ
ています。これは、情報A,B,C問わずすべての科目
で取り上げたいですね。

「情報常識」という言葉は、教職員著作権講習会で独立
行政法人メディア教育開発センター理事長の清水康敬先
生が用いてあり、なるほどと思いました。

情報教育や教育の情報化は、「情報常識」確立抜きでは
今後進まないということを清水先生のみならず、文化庁
長官官房著作権課課長補佐の山中弘美氏もおっしゃって
ありました。

私は、「情報常識」の中身として著作権教育に代表され
る情報モラル教育と個人情報保護教育を考える必要があ
るだろうと思います。しかしながら、これをすべて教科
「情報」でのみ実施することには無理がありますので、
学校の教育活動の中に適宜取り入れる必要が出てくるで
しょう。

私たち大人ですらも十分に情報常識を確立できていない
にもかかわらず、急速なスピードで高度情報通信社会に
突入してしまった我が国は実は大変危険な状態にあるの
ではないでしょうか。よく取り上げられる長崎の事件はそ
れを端的に示したものと言えるのかもしれません。

私は、現場の教師が教科「情報」の源流である産業界の
要請を知る努力をすべきではないかと思っています。
その上で、教科書を使って授業をしてみて、中身に不十
分な点があればしかるべき手段を使って改善をはたらき
かける必要があるでしょう。

全国専門学科情報科研究協議会に2社の方が計3名参
加されていました。懇親会にもお見えでしたので、お酒を
酌み交わしながらかなりつっこんだ議論を交わすことが
できました。

両社とも、専門教科情報の教科書づくりに積極的に取り
組み、高等学校の情報教育発展に寄与したいという意気
込みを語ってくださいました。

現在私は、アウトラインプロセッサーを用いて、教科書の内
容を章・節・単元ごとに整理して、板書計画を立ててい
ます。考査問題も、国語や社会科のように本文をもとに、
空欄穴埋めや、言葉の言い換え、○×問題等を作成しま
す。

私は、生徒の学習の基本はやはり教科書だと思いますし、
これまで専門の生物では、徹底した教科書中心の授業で
一定の成功を収めてきたと思っています。これの前2つが
実際の生徒さんの偽りなき生の声ですので、私の思いが、
独りよがりなものであるかどうかは、読者のみなさんが判
断してくださればと思います。

ともすれば、教科書軽視になりがちな教科「情報」ですが、
私は微力ながら、よりよき教科書づくりの礎役を務めるべく、
日々の授業に取り組んでいきたいと考えています。よろしけ
ればこの点について、読者のみなさんの忌憚のないご意見
をお寄せくださればと思います。

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